第15話 人狼少女・初めてのおつかい①
人狼少女は街に出たい!
その願いを受けて、主人のラニャはおつかいを頼んだのであった。
「買ってくる物はここに書いてあるぞ。」
ラニャはメモを渡す。大体が夕飯の食材だ。
「おぬしも人間で言えば12歳くらいじゃから、おつかいも出来るな?」
「任せてよ師匠!」
「うむ。ではいってこい!」
「行ってきまーす」
「気をつけていってらっしゃいましー♪」
2人に見送られ街へ向かった。
・・・・
「~♪」
人狼少女のルーは普段垂れた耳と尻尾がでているがラニャのくれたマジックアイテムの髪飾りおかげで人からは見えなくなっている。
一応保険としてキャスケットをかぶっていて、見た目はかわいい男の子だ。
「さて、今日買う物は……」
じゃがいも
にんじん
玉ねぎ
牛肉1キロ
「今日はカレーかな……って!?牛肉1キロ!?ってぼくが食べる分か……ちょっと考えないと」
食べ盛りもあるが人狼は基本的に人間より大食いなのだ。
「メニュー見てたらおなか空いてきた……早く勝手帰ろう……。」
ルーは露天へ向かう。
そこでよく知る人に会った。
「あれ?ルーちゃん?」
「あ、アルバートさん!!こんにちは!」
「こんにちは。おつかい?」
「そう!初めてのおつかい!」
「そうなんだ!何か困ってない?お姉さんにお任せだよ?」
「わーい!それなら野菜はどれがおすすめですか?」
「うーん、これ!」
アルバートがもった人参はかなり大きい。おそらく店で一番大きい。
「じゃあこれと」
「ジャガイモはこれかな?玉ねぎはこれ!」
「なんか……みんな大きくない?」
「?大きいほうがいっぱいたべられるよ?」
「そ、そうだね。じゃあこれと」
「あとこれとこれとこれと……」
ポイポイポイポイと袋に入れられしばらくはカレーにはこまらないくらい買ってしまった。
「あと、お会計でCCカードを見せればなんと2割引されるのです!」
「CCカード?」
「アポロの街で創作とか芸術とかそういうお仕事をしてる人が持ってる証明書だよー。」
「へえーそんなのがあるんだ。師匠もってるのかなー?」
「ラニャさんは仕事的には資格あると思うけど、お役所で手続きしてるの想像つかないなぁー……」
「確かにねー。今度聞いてみる。」
「うん。あ、ルーちゃんこれから時間ある?」
「え?あとは牛肉買っておしまいですけど?」
「じゃあ少し街の中見て回ろうよ!」
「え!いいんですか!」
「うん!わーい!デートだデート♪」
「なら僕、本屋さんいきたーい!」
「なら私たちがよくイベントやるあそこだね!」
・・・・
ー本屋ー
「うわぁ~本がいっぱいだ~」
「ルーちゃんは冒険物語とか好きだったよね?じゃあこっちかな?」
「あ、指輪物語だ!」
本棚にはフィクション、ノンフィクション含め伝記や小説がたくさん並んでいた。
ー服屋ー
「ルーちゃんにはかわいい服も着てみてほしいなぁ~」
アルはフリルのついたワンピースを持っている
「えー僕は動きやすいのがいいなぁー」
「でも、ルーちゃんならどっちも似合うなぁ~迷っちゃうなぁ~♪」
アルバートの方がテンションが上がっていた。
ー喫茶店ー
「ぼく、喫茶店って初めて。ちょっと緊張する……」
「大丈夫だよ~。今日のケーキは……」
「すごい静かなんだね、喫茶店って。」
「それがいいんだよ。今日はチーズケーキだって!ルーちゃんケーキ好き?」
「うん。ケーキはサロがたまに作ってくれるよ。僕は……紅茶のシフォンケーキかな?」
「お?大人だねぇ~。あ、すいません~」
「ルーちゃん飲み物は?」
「えっとえっとえっと、ほ、ホットミルクで!」
喫茶店は緊張したがケーキはおいしかった。
ー町外れー
「とうちゃーく」
「うわぁーここは?」
「ここは街が一望できる場所でね、お気に入りなんだー」
「確かに。あ、もしかしてアルフレッドさんと来るの?」
「フレッド!?う、うん。よくわかったね。」
「だってここ恋人同士できそうだし。」
「あはは。確かにそうだね。」
「2人は結婚するの?」
「え!?いやーどうなんだろう……」
「?お似合いだけどなぁ~」
「へへ、そ、そうかな?ふふ。」
「うんうん。早くくっつけって師匠も言ってたよ?」
「ラニャさんったら……」
グゥーーーー
「あーおなかなっちゃった。」
「ふふ。今日は楽しかった?」
「はい!あ、いけない!お肉買ってなかった!そろそろ帰るね!アルバートさん!」
「うん!あ、お肉屋さんわかる?」
「匂いでわかるよ!今日はありがとう!サヨナラー!」
「さよなら~……って匂いで?」
まだまだ落ち着きのない子供の人狼少女は野菜を担いで、嗅覚を頼りに肉屋を見つけ出した。
・・・・
ーラニャ宅(モーニング☆スター)ー
「で、ずいぶん野菜も買い込んだと。」
「アルバートさんだから断れなくて……」
「なんかやけに大きい野菜が多いのう。」
「それもアルバートさんが選んだんだ。」
「野菜は大きければいいってもんでもないんじゃが、まあその辺は今度教えるとして……2人でデート……じゃと!??」
「すごい楽しかったよ!」v(^^)v
「そりゃそうじゃろ!うわーん!いいなーいいなーわしも若い女の子両手に侍らせてデートしたいー!!」
ソファでだだをこねる主人。
「欲望ダダ漏れ……」
「サロー慰めておくれー!」
「今、お料理中なのでごめんなさーい」
「うわーん!サロにもフラれたー!もう不貞寝するー!」
「師匠……あ、師匠はCCカードって持ってるの?」
「CCカード?新しいカードゲームか?」
「あ……。なんか買い物の時に安くなるカードらしいよ?」
「そうなのか?どこでもらえるんじゃ?」
「アポロの役場で、創作者証明を核と貰えるんだってー」
「あー面倒じゃのうそれは。ルー、今度行ってきてくれ?」
「2人で行こうよ?」
「えあ?」
「いや、三人で行こうよ!今度!色々教えてもらったからさ!」
「あら♪いいですねぇたまには♪」
「わーい!やったぁ!」
「ったく、しょうがないのう。ルーは。」
「イヤならサロといくよ?」
「わしもいくのぉー!!」
こうして人狼少女のはじめてのおつかいはおそらく成功に終わった。
この日からしばらく夕飯にカレーとシチューがつづいた。
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