うみ

夏が終わる

日が沈みゆく、夕凪のうみ

防波堤に打ち付ける波は穏やかで

肌を撫でる、やわく、生ぬるい風から潮の香りがした


ふたりは無言で靴も、靴下も脱いでしまって

防波堤によじ登って腰掛けた


素足に触れる風と霧のようなしぶき

肩に触れる互いの熱


心地よかった


ああ、もう日が沈む

うみに抱かれたあかいあかい太陽

あっという間にそのかいなの中へ飛び込んでゆく


残された橙色のひかりと

うっすらと夜の気配を滲ませるそら


"そろそろいこうか"


立ち上がって、のそりと降りて、

散らかした靴を履いて


ふたり

手を繋いで歩く


ああ、一番星だ

夜が降りてくる


また、来ようね

"また、来ようね"



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