転生したら男性看護師だった～体は男性、心は女性～

プロローグ

　私は憂鬱だった。

　仕事に疲れた。

　眠れない、食欲がない。

　過労が原因のうつ状態だった。

　生きる気力がなかった。

　日がとっぷり暮れた夜、たまたま信号無視した車がこちらに走ってきた。車はガードレールを越えて私の方に横転した。私はその下敷きになり、即死だった。苦しむこともなく...。

　気づいたら、私はナースステーションにいた。夕方だった。他に、白衣を着た女性が３人いる。私は電子カルテのキーボードを叩いていた。

　何故か、生きる気力がわいてくる。

「お疲れ様でした～。」

　更衣室から私服に着替えた看護師が帰っていく。

　私は手書きの用紙から内容を電子カルテに移していた。

　17時10分に記録を写し終えた私は、先ほどの女性が出てきた更衣室の扉を開けようとした。

　「何やっているのよ！そこは女性の更衣室でしょ！男性はこっち。」

　男性...。

　私は男性更衣室に入り、更衣室にある鏡を見た。

　上下真っ白の白衣を着た、中肉中背の若い男性だった。歳は30歳くらい？そうだ、と勝手に考え、勝手に納得した。

　私の名前は吉田というらしい。女性の時の私の名前は原嶋だ。

　そして、この病棟は呼吸器外科・呼吸器内科の一般病棟だった。