第5話 昔の小説

私は、夢を見ていた

まだ小説を諦めきれなかった頃の夢だ

私が 実家に出て行く前に書いた小説だ

コタツに入りながら 黙々と小説を書いている

「あんた まだ書いてたのかい?」

お母さんが 私の顔を覗き込む

「うん!いいのが思いついたからさ!」

「あんまり夜更かしするんじゃないよ?コタツで寝たら風邪引くんだからね?」

「分かってるよ!」

「それで 次はどんなのを書いてるの?」

お母さんが 優しく微笑む

「今度は 5つ子の子達が主役の小説書いてるんだ!」

「また、子供の主役の話かい!?」

私は、子供が大好きで 子供の主役になる小説ばかりを書いていた

「全く 飽きもせずよく書けるね…」

半分、呆れ顔の母さんだが

「最後まで書くんだよ?」

と、優しく微笑んでくれたのを知っている

「うん、大丈夫だよ!今度のは自信作だからね!」

そう言って 結局の所は最後まで書けなかったのだ

だって あの日…

「なあ、起きろよ…」

うん…?なんか声が…

「起きろって!」

私は、夢から目を覚ます

そこには、四男 未笑が居た

凄い近いわ…

「起きたか…なんかすげぇ静かだから来てやったぞ〜」

笑いながら言う

普通の赤ちゃんなら多分泣いてるんだろうな〜

私は 見間違える程の5つ子を見分ける為に昔の小説を思い出すことにした

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