第52話 巫子の幸せいっぱいな平日の1日に密着しました・夜編(巫子視点)
「ん、あ……くぅん」
その日の夜の風呂上がり、ベッドの上でうつ伏せになっている私の蕩けた声が部屋の中に静かに広がります。
「ふふっ、声出てるね♪ そんなに気持ちいいんだ?」
骨抜きになっている私を見て、文人さんが意地悪っぽく聞いてきます。
「はい、とっても……」
「そっか、じゃあもっと気持ち良くしてあげるね♪」
グッ!
「んはあっ!?」
私が素直に認めると文人さんは私の体を触っている指に力を入れ、私が気持ち良く感じる所を的確に突き、私は思わず大きな声を出してしまいました。
「ひゃうっ!? ふ、文人さんそこは……あんっ!」
「ここだね? ここがいいんだね♪」
「んううううっ!?」
さらに文人さんは私の反応を面白がるように様々な場所を揉んでいき、私は止まることなく押し寄せてくる快楽に悶えます。
「我慢しなくていいよ。気持ち良かったら好きなだけ声出していいからね♪」
「は、はいい……」
そして文人さんは私に甘い言葉を囁き、陥落寸前の私は言われるまま頷いて文人さんのされるがままになりました。
ああ、文人さんに触られるの、本当に気持ちいい……。
まるで夢の中にいるみたいに頭がボーッとして、もう何も考えられなく――。
「はい。これでおしまいだよ♪ マッサージ♪」
「……え? あ、ありがとうございます……」
しばらくすると文人さんが突然手を止めて私から離れ、私は反射的にお礼を言いながらキョトンとします。
そう。文人さんが今まで私にしていたのは……マッサージ。
お風呂から上がっていつものようにイチャイチャしていると、文人さんがいつも家事や仕事を頑張っている私を労いたいと言ってしてくれることになったのですが……。
ま、まさか本当にマッサージをするだけで終わりですか!?
私はてっきりマッサージを口実に文人さんが私のあんなところやこんなところを触るエッチな悪戯をしてきて、そのまま夜の営みに移行すると期待していたのに……。
「むう……」
「ん? 巫子? どうかしたの?」
「いえ別に、何でもないですよー」
そんな肩透かしをくらい不完全燃焼な私の気も知らない文人さんは、不満そうにする私を見て不思議そうに聞いてきましたが、私は抗議の意味を込めて素気ない態度で惚けました。
ほ、本当にただ純粋に私への気遣いでやってくれたんですね……。
い、いや、それはそれで嬉しいですけど、何と言うかもう少し私を邪な目で見てくれてもいいんですよ?
あまり紳士過ぎると、エッチなことばかり考える自分が恥ずかしくなりますから……。
「……ハッ!」
すると私の頭にある可能性が浮かびました。
禁欲が明けてからまだ1日も休んでないですし、もしかして今日は文人さんの休養のためになしですか!?
そ、それはダメです!
私の方はする気満々なのに!
なしならそうと事前に言ってもらわないと困ります!
このままだと私、禁欲の時みたいにモヤモヤして眠れません!
「文人さんっ!」
「え? 何? ……わあっ!?」
そうなってはたまらないと思った私は文人さんに抱きつき、さらに唇を奪って実力行使に出ます。
「はむっ、んふっ、文人さん、文人さん!」
「ちょっ!? ちょっと巫子待……んんっ!?」
そして舌を入れて絡める熱烈なキスをして文人さんの興奮を煽りました。
その際、文人さんの体に私の胸を押し当て、脚も絡めて密着度を上げ、スリスリと擦りつけるように体を小さく動かして女性の柔らかさを意識させることも忘れません。
文人さんからの愛を手に入れるためなら、私は使える全ての武器を惜しむことなく使います!
「ふう……」
「はあっ、はあっ……み、巫子、急にどうしたのさ?」
私が唇と体を離すと、文人さんは呼吸を整え戸惑いながら聞いてきます。
「ご、ごめんなさい。あのですね。私、文人さんのことが大好きなんです」
「う、うん。ありがとう。僕も巫子のことが大好きだよ。それで?」
謝りながら伝えた私の素直な気持ちに、文人さんは照れながら続きを促しました。
「好きな人が目の前にいて、さらに誰にも邪魔されない状況だったら、愛し合いたい、気持ちいいことをしたいと思うのは当然じゃないですか?」
「まあ、そうだね」
「なのに文人さんったら隙だらけの私を前にしても普段と全然変わらなくて、私、女性として魅力がないのかと自信をなくしてしまいます……」
「ああ、ごめん。別にそんなことはないんだけどね」
「私はさっきから文人さんに触られたせいで体が熱くてたまらないのに、私をこんなに興奮させた責任……取ってくれますか?」
「もちろん。僕だって巫子みたいな魅力的な子が隣にいて、何もしないでいられるわけないじゃないか♪」
グイッ
「あんっ♪」
私が拗ね気味にお願いすると文人さんは私の機嫌を取るように、私の背中に腕を回して抱き締めます。
「ふにゃ~ん。文人さん、素敵ですう……」
夜の営みをしてくれる約束を取り付けたことで、すっかりご機嫌になった私は文人さんの腕の中でデレデレしながらネコのように甘えました。
「あはは、巫子はかわいいなあ♪」
「うゆ~♪」
その様子を見た文人さんは頬を緩ませながら私の頭を撫で、私は嬉しくて言葉にならない声を出します。
私たちは他の人にはとても見せられない、バカップルモードに突入しました。
「ねえねえ文人さん、さっきの続きしましょ。文人さんの好きなところを好きなだけ触っていいですから、私を気持ち良く幸せな気分にしてください♪」
「言われなくてもそのつもりだよ。僕だってさっきから巫子に誘惑されたせいで結構我慢してたんだから」
いい雰囲気になったところで私が文人さんを誘うと、文人さんは体を反転させて私と横並びになりスッと右腕を私の腰に回し、左手でマッサージの時には触らなかった部分を触っていきます。
「あ、はあ……文人さあん……」
触れた部分から甘美な刺激と共に文人さんの愛が体の中に流れ込んでくるのを感じた私は、目をトロンとさせ口から極楽の吐息を漏らし、力が抜けていく体を文人さんに委ねました。
これは私から文人さんへの「私はあなたのものです」という従属の意思表示です。
「巫子、そろそろいいかな?」
「ええ、いつでもどうぞ♪」
文人さんの問いに私が頷くと、文人さんは私にキスをしてそのまま押し倒します。
今日も私は文人さんと体を重ねて愛し合う。
今日の1回はそのうち忘れてしまう何でもない1回になるかもしれないけど、愛し合ったという事実は残り、快楽と共に私の心に刻まれて文人さんとの絆を深めます。
「一緒に積み重ねた時間と思い出」こそ、他の人にはマネできない最強の個性。
ここだけの話、付き合った日の夜にお泊りしてそのまま同棲に持ち込んだのも、文人さんと一緒にいたいという理由に加えて、これを狙うためだったりもします。
だって万が一でも、他の女性に文人さんを取られたくないですから♪
文人さん、計算高くてズルい彼女でごめんなさい。
でも将来必ず「巫子をパートナーに選んで良かった」と言ってもらえるように頑張るので、許してくださいね♪
その後私は文人さんにしっかりと心と体を満たしてもらい、幸せな気持ちで眠ることができたのでした。
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