クライマックス1-1『最終幕:福音と歌声』

GM:いよいよクライマックスだ。登場をお願いするよ、ご両人。


稀生:シーンイン。(ダイスころころ)10点上昇、120%!

マリー:シーンイン。(ダイスころころ)8点上昇、104%!

GM:稀生の侵蝕率が高いな……。


GM:壮一からの出撃命令に従い、キミたちは航空機で福音の中心座標――エイルの待つ摩天楼の上空に近付いていた。

 操られるままに、世界を見下ろし歌い続けるエイル。その光景を眼下に、キミたちは空挺降下の準備に入る。

 そこに、数人のレインズ隊員が話しかけてきた。


レインズ隊員:「なぁ、覚えてるか? FHクラン"デュナミス"の戦艦で、お前たちとエイルさんは、危険を覚悟で俺たちを助けてくれたよな」

マリー:「そんな事もあったの」

 遥かな過去にすら感じられる、あの戦闘を思い出す。

稀生:「ああ、覚えてるよ……俺の無茶な提案に巻き込んで、悪いな」

レインズ隊員:「ははっ。無茶は今更だろ、"ブロークンコンパス"。

 ……今でも感謝してるんだ。お前たちが助けに来てくれなかったら、俺たちは生きてこの場にいられなかった。

 だからさ、お前たちは絶対にエイルさんの元に送り届ける。俺たちを信じて、全力で戦って……勝てよ」


GM:ではここで、新たなNPC効果を公開するよ。




◆NPC効果:レインズ隊員

・『UGN精鋭遊撃部隊』

 クライマックス戦闘が始まるまで、PCが受けるあらゆるダメージを無効化する。

 この効果により、摩天楼への降下中に迎撃されても、PCは無傷でエイルの元へと辿り着ける。




マリー:「当然、なの。レインズに敗北は似合わない」

稀生:「……そうだな。思えばいつだって無茶して、その度に助けられて……今回も頼りにしてるぜ」

マリー:「バックアップは任せたの。美味しいところは、私たちが貰っていくの」

レインズ隊員:「頼んだぞ。さあ、それじゃ行こうぜ! 空挺降下、30秒前! 20秒! 10秒! ……3、2、1、降下開始!」


GM:航空機のハッチが開き、そびえ立つ摩天楼と、夜空に輝く月が視界に飛び込んでくる。


マリー:「"ブラッディメアリー"、出るの!」

稀生:「"ブロークンコンパス"、出る!」

「(待ってろ。今、たすけに行く)」


GM:眼下の夜景に向けて身を躍らせるレインズ。

 敵がレインズの襲撃に気付かない筈もなく、即座に6振りの剣が宙を舞い、迎撃に向かって来る。

 稀生とマリーにも、リエゾンロードが操る凶刃が迫るが……その切っ先はキミたちへ到達する前に、仲間たちによって弾かれる。

 月光を反射し縦横無尽に空に煌めく刃を受け、1人、また1人と仲間は脱落し……それでも彼らは、己の務めを果たして見せた。

 最後の1人になっても、自身ではなくキミたちを守るために彼らは挺身ていしんし――遂にキミたちは、無傷でエイルが待つ摩天楼の屋上へと降り立った。

 屋上の反対側、エイルは虚ろな瞳で福音を紡ぎ続けている。

 月の活性化が進んでいるのか、周囲には圧倒的なレネゲイドの奔流が嵐のように吹き荒れる。そしてその中を、平然と歩む男が1人。


アルギウス:「……来たか、旧世界の守護者よ」

稀生:「"操演者"……悪いが始末させてもらう。俺たちは後ろのエイルに用があるんでな」

マリー:「そういう事なの。邪魔するなら容赦しない。お前には赤っ恥かいて死んでもらう」

アルギウス:「ふ、叶いもしない絵空事を吠えるものだ。しかし投入される戦力がたったあれだけとは……レインズも一枚岩ではないという事か?」


 挑発的な口調で語りかけるアルギウスに、稀生もまた、煽るような笑みを浮かべて応じる。


稀生:「よく言うぜ。他人を操らないと、味方すらいない奴が」

アルギウス:「何とでも言え。先駆けとなり人類を導くとは、孤高な使命なのだ」

マリー:「孤独、の間違いなの。それが本当に崇高すうこうな道なら、誰かが必ず一緒に歩んでくれる筈。

 でもお前の側には剣しかない。誰も寄せ付けない剣山。そんな輩に負けるわけにはいかない。負けるレインズであってはならない。

 世界を守り、明日も虚構の上の平和な日常を過ごしていく。邪魔をするなら――血の花になって果てるの」

アルギウス:「……相容れぬか。残念だが、まあいい。我が使命は変わらない。リエゾンロード"操演者"として、新世界への福音を守り抜くのみ」


 指揮者の如く両手をかざすアルギウスに従い、空中に再び6振りの剣がはべる。目を凝らすと、糸状に変形させた肉体を剣に接続して操っているようだ。


GM:ここでアルギウスは、Eロイス『さらなる絶望』×2とEロイス『悪意の伝染』を宣言。

 エネミー『アルギウスの剣』×2体を出現させつつ、これ以降のシーンへの登場を制限する。


アルギウス:「旧き世界に固執し、人の可能性を阻む大義なき者――未来への贄と散れ」

マリー:「なら、マリーたちは真正面からその欲望をぶち壊すの。

 全ての命に、終わりがあるように。お前の命も真っ赤に彩って、地獄に送ってやるの!」

 血液から銃を作り出し、アルギウスに狙いを定める。

稀生:「誰かの痛みも悲しみも、喜びすら弄ぶ奴には理解出来ないだろうが――人の可能性こころを信じないお前に、世界は語らせない。

 その傲慢を、身を持って味わえ――"操演者"!」

 白刃を、迷いなく抜き放つ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る