第6話エンディング
ひらりと桜の花が舞い落ちる。
私は大きく両手を広げて、とっておきの話に、私の恋の話に耳を傾けてくれる仲間たちに語る。
「みんな。私の、かけがえのない大事な大事な友たちよ。
私の夢は世界で一番愛する人と、この美しい桜の木の下で永遠に一緒に居続けることだった。
同窓会は叶えられた。
素晴らしい同級生を持てて、私は本当に嬉しい! 長い時間をかけて、このクラスは再び集った。
だからこそ! 私は、今、ここで誓いたい!
私と、十夜さんと、十花ちゃんの愛は永遠のものであると!」
きっと、興奮して頬はあかく染まっている。口元も緩んで、だらしない表情をしているのだろう。
ああ、嬉しくて泣いてしまいそう。
私はずっとこの瞬間を待っていた。
ひらりと、桜の花が舞い散った。
止めどなく、桜の花は咲き乱れていた。
これが、私の話のエンディング。
「ねえ、みんな。聞いて。
みんなに紹介したい人がいるの。
その人たちはね」
私が世界で一番愛してる二人なんだ。
本当だったらね。生きているときに、みんなに紹介したかったな。でも、しょうがないよね。
だって、この同窓会の参加条件の一つは「死んでいること」なんだもん。
この桜の木の下にいる同級生がみんな揃って集まるには、人生を終わらせないといけないの。
私を含めたここにいる同級生は、みんな、既に死んでいる。
それでも同窓会を開いて再び集うのは、桜ヶ原の七不思議「同窓会」のせい。私たちは七不思議の七つ目に辿り着いてしまった。
私たちは、桜ヶ原の七不思議に呪われたんだ。
ねえ、みんな。
死んだ人といるとね。ほんの少しだけ、おかしくなっちゃうんだ。
私も、十夜さんも。
ちゃんと生きていこうと願えばあのまま三人でいられたの。
でもね。怒りとか憎しみとか嫉妬とか、そういう感情が大きくなっちゃうときっと引きずられちゃうんだ。
狂って、死の世界に近づいちゃうんだよ。
私たちは、十花ちゃんに手を引かれたの。
ああ、でも。
三人でいられるならそれでも私は幸せ、かな。
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