新々、作家さんと編集くん

渋谷かな

第1話 捜索中

「ちゅかれた。」

「ジャパロボ10万字を書き終えた精神的ダメージが、まだ取れませんね。」

 作家さんは疲れていた。

「それもあるけど、次の都道府剣47が頓挫したのが大ダメージだ。」

「作家という仕事は生傷が絶えませんね。」

 大変なお仕事である。

「テンプレートの貼り付けで、次話を作るというのをやめなければ、いつも頓挫してしまうぞ!?」

 ということはドラえもんはテンプレートの貼り付けからの置き換えではない。

「貼り付けるのは、決めゼリフだけで、それ以外は毎回新規に書かなければいけない。」

 クレヨンしんちゃん方式か?


「やはり、もっと最初から作りたい!」

 まあ都道府剣47も1から作り第2話までは成功したのだが。

「私にどうしろという?」

 そこが問題である。

「一つを掘り下げて何度もシリーズ違いで書くか? ガンダム、ラブライブ方式。」

「ずっと同じ主人公でストーリー違いで書き続けるか? ドラえもん、アンパンマン方式。」

「親から子に引き継ぐ、ナルト、メジャー方式。」

 いろいろなタイプはある。

「いずれにせよ。1作目が成功しなければ先はない。」

 つまり、そういうこと。


「毀滅も半分以上は戦闘シーン。」

 三国志でも北斗の拳でもなんでもそうだが、人間は戦いが好きである。

「昔から言われていることがある。派手な戦闘シーンのアニメは売れると。」

 まあ、PTAはお怒りだ。暴力、いじめを家庭、学校で流行らせているのだから。

「毀滅も分解すれば同じストーリー。」

 君の名は、同様、テレビが取り上げたかどうかだけ。

「違うな。それだけじゃない。他人と同じでいたい。いじめられたくない。話題についていきたい。」

 ブーム・流行・トレンドは、人間の弱さが作る。いじめ、暴力、他人と自分を比べてしまう。

「鬼滅の刃だけみれば、普通の物語だ。」

 全てのヒットの原因は、メディア露出。

「共感を得るだけで良いのなら、人の心の業、人の精神状態、人の心の脆さや心の腐敗を描くだけで人の関心を得ることができる作品になる。」

 このコロナで全世界の全人類が死滅の危機にあるさなか、全ての人間の共感を得やすいのは当然である。


「または最近はアイドルや日常モノばかりで、昔の北斗の拳や聖闘士星矢の様な正義貫徹モノがなかったということか?」

 そうかも。

「なぜ戦いは生まれる?」

 人間が二人いるからだ。

「人間だろうが、妖怪だろうが、ロボットだろうが、設定が違うだけで、ストーリー内容は同じ。」

 次作の設定だけを考えよう。


「野球なら野球。アイドルならアイドル。」

 ごちゃ混ぜにしないで、何か一つだけに絞った方が分かりやすいだろう。

「人の心の弱さ。共感。」

 おまけに戦い。ロボット、剣と魔法。刀。

「明治維新はるろうに剣心。」

 鬼滅の刃はるろうに剣心のパクリか? 似てるっちゃ、似てる。

「ヒット作に似せると売れるのも常識。」

 人の心の弱さは悪魔? 人の心が生み出す悪魔。

「主人公は超能力者? 霊媒師? 心理学者? 臨床心理士?」

 少し年齢設定が上がってしまうな。

「現代ドラマか?」

 主人公、16才の高校1年生の現代ファンタジーからの、主人公の兄が主役の現代ドラマを書く。

「創造が二毛作ばっかり。」

 都道府剣47とMYA47の頓挫が悔やまれる。

「違うな。」

 まずは二毛作しないで、10万字の中で両方を書いてみればいいのか!

「その通り。」

 どこで2作書いて、20万字も苦行をしようと思いついたのだろう。


「高校生カウンセラー! サイコパス男!」

 正に名探偵コナン。

「山崎臨。」

 主人公。山崎のぞむ。高校1年生。16才。

「森陽菜」

 ヒロイン。森ひな。高校1年生。16才。


 題材は、心。


 読心術とは、表情や身体の動きといった相手の様子観察することで心の中を読み取るという行動心理学を利用した技術のことです。

 

 読心術の用語解説 - 顔の表情やからだの筋肉の動きから、直感的に相手の心の中を読みとる術。


  相手の心を読む能力。 概要 超能力の一種で、相手の心を読む能力。 「読心」とも。 テレパシーに近いが、基本的には相手のものを読み取るだけの一方通行である。


 メンタリズムが読心術? 臨床心理士とは違う。対立、天敵。


 臨は超能力者。サイキッカー。


「あなた人を殺しましたね?」

 臨は目の前の男性に問いかける。

「な!? バカな!? 俺が殺したという証拠があるのか!? 証拠が!?」

 図星を突かれて慌てる声を荒げる男性。

「証拠はありますよ。あなたの心の中に。」

 望は男性の心の中を覗き込んだ。

「あなたが浮気がバレて口論の末に奥さんを殺した包丁が、自宅の庭に埋めてあります。そう、これは強盗の仕業なんかじゃない。犯人は、あなただ!」

 男性を殺人事件の犯人だという臨。

「直ぐに調べろ!」

「はい!」

 警部の指示に男性の家の家宅捜索が始まる。

「あった! 血の付いた包丁だ!」

 臨の言った通りに男性の自宅の庭から奥さんの血がついた包丁が出てきた。

「クソ!? なんで分かるんだ!?」

「俺はカウンセラーですから。」

 事件を無事に解決する臨。

「3年目の浮気位多めに見てくれてもいいじゃねえかよ!?」

「ダメです。浮気は許されません。」

 こうして殺人事件の犯人は捕まえられた。

「よくやってくれた! 臨くん!」

「池田警部。みたいアニメがあるんですから、気軽に呼ばないで下さい。俺は探偵ではなく、カウンセラーなんですから。」

 俺は山崎臨。高校1年生の16才。高校生カウンセラーだ。なぜか俺には人の心を見ることができる能力があった。


「なんだろうな? 朝起きると昨日書いてた作品に興味がないというか、忘れてる。」

 困った。このやる気のなさ。

「全然、書いていける。書こうと思えば。」

 だが、既に面白さがない。

「漫画なら5分。アニメで30分。」

 小説なら1分で読めちゃうのかな。1話分って。

「金のために毎回同じ内容の話を良く続けられるものだ。」

 それが仕事でお金をもらって生活してるんだから。アニメ制作会社。


「何か飽きない仕組みを考えなければ!」

 登場するモノ。キャラクター、アイテムなどを毎回変える。

「ドラえもんなら、秘密道具。アンパンマンなら新キャラでなく、古参キャラクターのローテーション使いまわし。」

 道具は楽だが、毎回新キャラクターを生み出すのはしんどい。

「はっ!?」

 アイデアの神が降臨される。

「能力!? アビリティーなら毎回変えることが出来る!」

 ドラえもんの秘密道具の置き換えである。

「目や鼻、口など血が吐き出せる部分から吐き出したい気分だ。」

 作家って、大変。

「型にはめ込んでストーリー展開するだけなので、10万字は楽勝。」

 やればね。

「ただ書いてて飽きてしまう。」

 作家の持病。

「飽きないように壮大なスケールで製作しなければいけない!」

 迷走中。

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