第3話 セクシークイーン 姫乃樹アリス

 さっそくウキウキして、自宅マンションの『ソレイユ』へ帰宅すると出入り口前に、引っ越し業者のトラックが停車していた。



「ン……❓❓」

 どうやら隣りのき部屋に引っ越して来るようだ。



 次々と荷物が運び込まれていた。



 香水だろうか。かすかに甘い匂いが辺りを漂っていた。


 運び込まれる荷物から察すると、入居者は若い女性のようだ。


 可愛い女性なら大歓迎だが……。



「ねぇ、これ、四階まで運ぶんですか❓」

 何気に引っ越し業者の人に訊いてみた。



「ええ、ご迷惑お掛けします」

 大学生くらいの若い業者も丁寧な応対だ。


「ハイ……😅💦💦」僕も軽く会釈した。



 やはり引っ越し先は、隣りの空き部屋なのだろう。


 僕の隣りの部屋は、かなり曰くつきの『事故物件』と言う話しだ。



 噂では、若くて綺麗な女性の幽霊が出るらしい。


 やはり幽霊は貞○みたいにはかなげでスレンダーな美女が似合う。


 あまり相撲取りのような恰幅の良い幽霊が出るとは聞いたためしがない。



 実際のところ僕は、まったく霊感がないので幽霊を見た事はないが、隣室の入居者は次々と変わっていく。



 エントランスを抜け、エレベーターに乗ろうとすると不意に背後から若い女性に呼び止められた。



「待ってェ…… 私も乗るからァ~…」



「え……😒💦💦」

 振り返ると、ひとりの金髪美女が駆けてきた。

 大きな女優帽とトンボのようなサングラスを掛けていた。



 まったく正体不明だが美女と表現してつかえないだろう。




 一見、グラビアアイドルかと思うほど派手な服装よそおいだ。


 こぼれそうなくらい豊かなオッパイが走るたびに揺れている。


 だが、まさかこの『ソレイユ』にグラビアアイドルが引っ越してくるはずはない。



『ン……❓❓ どっかのキャバ嬢か』

 もしかしたら風俗嬢かもしれない。



 それほど、派手で妖艶なまめかしい身なりをしている。



 彼女は勢いよくエレベーターへ駆け込んできた。



「おォ~ーっとォ~……😲💦💦」

 とっさに僕はエレベーターのなかで彼女を両腕で受け止めた。

 


 生まれて初めて、若い女性と抱き合いハグする格好になった。



「ううゥ……😳💦💦」

 柔らかな胸の膨らみが僕の胸に押しつけられ、小さく呻いてしまった。



 はつ体験の感触に全身が戦慄わなないた。



「フフ…… ありがとう……」

 彼女は綺麗な白い歯を見せて礼を言った。

 笑顔が素敵な女性だ。



 大きな女優帽とトンボのようなサングラスで正直、細かい顔の造作はわからないが、輪郭からすると美人であることは間違いない。



「あ、いえ、別に……😳💦💦💦」

 思わず、顔が真っ赤になってしまった。



 ゆっくりとエレベーターのドアが閉まった。


 エレベーターの中は二人きりだ。



 濃厚な香水の匂いだろうか。眩暈めまいがするほど甘美で蠱惑こわく的な香りが僕の鼻孔を刺激した。


 なんとなく気まずい。

「へっへへ……😅💦💦」

 僕は彼女を抱きかかえたまま愛想笑いをし、マジマジと顔を覗き込んだ。



「フフ……✨👄✨💕」

 彼女は微笑みを浮かべ見せつけるように、ゆっくりとトンボのように大きなサングラスをはずした。



「う❗❗」

 その瞬間、僕の心臓がドックンとはずんだ。


「まさか……」電撃を食らったように全身が痙攣した。



「あ、あなたは……😲💦💦💦

 ひッ、姫乃樹アリス……さん……」

 信じられない事に、今、僕と抱き合っている美女は伝説の元セクシークイーン 姫乃樹アリスだ。









∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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