乙女と少年
ん、あれ?俺何してんだろ
そういえばアイナさんを襲おうとしたゴブリンがいたから庇おうとして腹を爪でやられたんだ
瞼が重くて開かない、俺死んだのかな、、
でも左手に何か温かいものが、
今ある体力を振り絞り目を開けると外は真っ暗でテントの中には手を握ってくれているアイナさんが居た
「ケイタ!!目が覚めたか!痛いところはないか??本当に大丈夫か?」
俺死ななかったのか良かった、
「はぃ、いまの、、ところ」
あーあー!!なんでアイナさんが話しかけてくれた時に限って声もうまく出ないんだよ
ていうかさっきからすごく気持ち悪い
「傷は治すのに体力を使ったから今は安静にしていろよ」
「はい、ウプッ!」
ヤバい吐きそう!!!!アイナさんの前で吐くわけにはいかないのに、現実では女の人に良い所見せれてないんだからせめてこの世界では恥はかきたくない
「ケイタ、気持ち悪いのだろ?無理をするなゴブリンの爪や牙は衛生面がとても悪いだから小さな傷でも毒を喰らったような状態になることがあるんだ、この桶に楽になるまで吐くといい」
吐きたくない、でも、流石にキツすぎる、、
「オェぇぇぇぇ」
圭太は桶に思いっきり吐いた、昼食べた鉄ワニのタレ焼きなども全てリバースした
どうしようもない情け無さと優れない体調もあいまって泣きながら何度も嗚咽する
「エグっ、すいません、ウッ」
そんな圭太の背中をアイナは優しくさすってあげた
「ゴブリンにやられそうになった時、守ってくれて本当にありがとうな、それとケイタをこんな状態にしてしまって本当にすまない
私のことは気にせずに楽になるまで吐いてくれ」
「はぃ、ありがとうございま、オェ」
アイナさん優しいな思えば現実でこんな誰かに優しくされたことなかったな、、
しばらくすると楽になり圭太は眠たくなってしまった
「ケイタ落ち着いて寝れるまで私が横にずっといてやる、何かして欲しいこととかあるか?」
して欲しいことって、何をお願いしてもいいんですか?!?!何をお願いしちゃおうかなぁ〜
でも、アイナさんも今日疲れたんだよな俺の事で疲れを増やしてもらっても困るな、だから
「アイナさん僕の事ことはいいんで、明日に備えて休んでください、貴方も疲れたと思うので」
「しかしケイタ!お前は怪我人だいつ悪化するかも分からないのに、」
「僕はさっき吐いてだいぶ楽になりましたよ、だからアイナさんゆっくり休んでください」
アイナは圭太に押し切られる形で自分のテントで休む事となった
はぁぁぁ、やっぱり何かお願いしておくべきだったかな〜
しかし、本当にさっきより楽になったな、
そんな事を考えていると急に脳内に
(経験値が溜まったのでスキル、毒耐性レベル1を習得しました)
ん????何今の声、よく異世界系であるレベルアップ通知系のやつ?そう言えば俺のスキルってレベルアップだったな、、まぁいっか!俺も今日疲れたし寝よ!!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アイナのテント
ケイタのやつ本当に大丈夫かな、
体調悪そうだったし腹部にもあんな傷も負って、本当に助けられたな
久しぶりだな男に助けられたことなんて
いつもだと私が街の情けない男達を、助けてやったりしているものだから久しぶりの感覚だな
ケイタは荷物を持つ力もないしゴブリンにもびっくりして腰を抜かす様な男なのに私が怪我しそうになった時に限ってあんな勇敢な行動にでるなんて変わった奴だな
アイナはいつのまにか自分が圭太のことばかりを考えていたことに気づく
わ、私は何を考えているのだろう!
気高きレッドピーコックの団長でもある私があんな男の事ばかり気になる様になるなんて、、
いやいやいや!これは尊敬だ!そう、いざという時に行動のできる圭太への尊敬の気持ちだ!
そういうとアイナも眠りにつこうとする
そして寝る前に呟くのだった
「明日、ケイタにちゃんとお礼言わないとな、、
話せるといいな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
はぁぁぁぁぁ寝たらすっかり治ったな!
傷も何故か塞がってるし!何より昨日アイナさんが手を握ってくれてたし!最高の1日のスタートだ
テントの外からは、もう起きたアイナの取り巻きの女達が会話をしていた
「昨日びっくりしたね〜」
「そうだね!まさかあの男がアイナさんを守るなんて、ていうかアイナさん男に守られるなんて!
男は野蛮な生き物よ、そんな生き物に守られた人が団長だとか、レッドピーコックも落ちたわね」
「そうね〜いっそ違う人に団長してもらう?」
「私なんてあの男の治癒をさせられたんですよ〜
もう最悪です」
なるほど、あの中の女の子が治癒を行ってくれたおかげで俺は傷も塞がっているのか
しかし、アイナさんの評価が今回でとても下がったらしいな、俺は関係ない事だが少し可哀想だな
「あ、きたきた私達の使えない団長よ、」
「またあの男の所かしら、、」
酷い言われようだな、あんなに皆んなの事を気遣っていたのに、俺もギルドでパニックになった時には助けてもらったし、ここは一芝居うつか!
テントの入り口が開けられる
「あぁ、ケイタ起きてたのか、おはよう、傷と体調は大丈夫か?」
「はい!おかげさまで元気です!
それと昨日はミスをして怪我した俺を守りながらゴブリンを倒していただきありがとうございます!」
大きな声でテントの外にいる取り巻きどもに聞こえるように言ってやった
「ちょっと、ケイタ一体何を言っているのだ?」
「団長!やっぱりあの男に守られたわけじゃなかったんですね!」
「あの男が足を引っ張らなければ団長はもっと楽に勝てたのに!」
「何してるのよ!荷物も持てない奴が!」
「お前達!違うんだ!ケイタに守ってもらったのは本当で、」
「団長は優しいですね!こんな男でもプライドを守ってやるために自分を犠牲にするなんて、さすがです!」
「いや、だからそういう訳じゃなくてケイタが助けてくれたのは、」
「もういいですよ団長分かってますから!私達は!ささ、今回の依頼も結局達成できましたし今日はゆっくり帰りましょう!」
「あ、あのなぁ、」
よかった!アイナさんの評価が下がらなくて、
でも、俺の評価は?、あれ?クソ下がってない、ただ迷惑かけた人になってない?
結局俺は引き立て役かよ!!!
結局その後は何事もなく昼には元の街に戻りレッドピーコックのギルドについたのだった
「結局終始使えない男だったわね!」
「早く消えてちょうだい!」
「顔も見たくないわ!」
「す、すいませんでした、今去ります、」
酷い!血も涙もないのかお前達には!
そんなにいうならすぐにどっかに消えてやるさ!
圭太は足早にギルドを後にした
あ〜あ、結局アイナさんとあれから話せなかったな〜、もっと昨日の夜話しとくんだった
ダッダッダッ
ん?誰か後ろから走ってくる?
「おぉーいケイタ!待ってくれないか!」
ア、アイナさんだ〜
「は、はい!なんでしょうか?」
「ケイタ、昨日と今日のお礼ができてないから、そのだな、今日一緒に夜ご飯でもどうかなって、
もちろん奢らせてもらおう」
アイナは内心とても恥ずかしかったが、この機を逃しては次はないと思い勇気を出したのだった
「はい!是非!今日の夜ですね!楽しみにしておきます!」
え、え、え、まじ?アイナさんから食事の誘い、これって半分デートみたいなもんだよね!やった!これで全て報われた様に思えるよ!
「それじゃあ、夜あそこの噴水に集合でいいか?ケイタ」
「はい!わかりました!」
その日の夜アイナは精一杯のオシャレをして噴水でケイタを待つのだった
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