推しとの妄想がつむぐ

第1話

ねぇ、妄想ってしたことある？

あるよね？推しとどう過ごすか、妄想するの、オタクならよくやるよね？

推しとわたし、共演するならどんな脚本がいいかな、って考えて、有名な事件をモチーフに考えたの。

川名洋平くん、あの人気シンガーソングライターの！そうそう、ヒーローものに出ていた有名な人なんだけど、いつかお芝居で共演してみたいんだよね。

それでさ、有名なその事件。

未解決なんだけど。

川名くんって横浜出身じゃん？

わたし、知らなかったんだけど。

あの有名事件の容疑者、無罪判決になるまでずっと横浜の刑務所にいたんだって。

ずっと調子悪かったの、気のせいかな。

洋平くんと共演する話を書いてから

なんだか寝ても寝ても眠くて仕方がないんだ。

なんかね。

毎日、洋平くんのそばに血まみれの女の人がいて、毎日わたしのところにやってきて、首をしめてくるんだ。

明日、洋平くんの配信ライブがあるんだ。

日記は、ここで途切れている。

彼女は、推しの写真と、あの有名な事件の記事を抱えたまま、血まみれで死んでいたという。

彼女が言っていた、血まみれの女は彼女自身。

「ドッペルゲンガーを見たら人は死ぬ」という都市伝説は本当だったらしい。

わたしのところにも、推しと一緒に血まみれの女が来る夢を見た。

彼女の顔はわたしそっくりだから、

数日中にわたしは死ぬんだと思う。

あなたにも推しはいる？

推しとの妄想は、ほどほどに。