怖い話㉖

564219

物件

 これは、私が友達から来たお話です。


 友達の家は山の中にありお買い物に行くときも乗り物を使わないといけない距離にあった。


友「本当に私の家って不便だな…。」


 友達は学校に来るたびにいつも同じことを呟いていた。


私「高校を卒業したら一人暮らしするの?」


友「うん。親の事も心配だけど、今のままだとまともな暮らし送れなさそうだし…」


 友人はアウトドア派なので、普段から外に出たがっていた。私は一緒にシェアハウスをすることを進められていたが、家から学校までがとても近かったこともあり、お断りをした。


 友人も一人暮らしをするとは言ったものの、お金がなく安くて学校から近いアパートを探していた。そこで私も一緒に不動産屋に行くことにした。


 近所に不動産屋がないため、これまた車で行くことになったのだが、車に乗った瞬間どうも嫌な感じはしたんですよ。でも、友達の新居を探すんですよ?そんなこと言えません…。


 しばらくして山が見え来てその山を登って下って…町が見えてきた。町には不動産屋が一件しかなくこの日はとても混んでいて私達は外で待つこととなった。


 1時間位は待っただろう。担当の方から、私達を呼ぶ声が聞こえ振り返るとそこには、日本人形そっくりの女性の担当の方が立っていた。


 担「えっと・・・私があなたたちの担当になりました…どうぞよろしく…。」


 死人のような声で、私達一同はこの人大丈夫なのかと心配になるほどだった。しかしさすが不動産やで働いている事だけあって、新居の条件を説明するとすぐに良いい物件をたくさん持ってきて下さった。


 担「この物件はとても安くて良いですよ…。」


 持ってきていただいた物件はどれもよかったが、一番したの資料の物件だけなぜか説明をされなかった。その物は値段がとても安く4万えんほどで借りることができた。


 私「この物件はどのような物件なのですか?」


 思わず、私は気になって聞いてしまった。


 担「ああ・・・。その物件はあんまりお勧めできないんですよ…。でも、安いのでお勧めですよ。」


 心の中で思わず、進められないのにちゃっかり進めちゃってるよ、と思ってしまった。そこで私は友達にこっそりと、


 私「この物件なんとなくやめたほうがいいよ…。」


 友人は思わず私の方を振り向いた。どうやら友人はここに決めていたらしく、急に止めてきた私を不思議そうな目で見つめた。


 私「うん…。なんとなくまずい気がするんだ…。」


 私が言うと友人は少し考え込んだ後、担当の人に、


 友「この物件より少し高めでもよいのでちゃんとした物件ないですか?」


 あまりにも、オブラートに包まないその言葉に担当の方以外にもそこにいたすべての人間が一斉に友人の方をみた。すると、担当の方が、


 担「やはり気づかれましたか…。この物件を見た方たちは必ずキャンセルするのです。一度、この物件に決定した方がいたのですが、住んで3日目でバラバラ死体で発見されました。でも、完全な密室状態でとても誰かが体を切り刻んで逃げたとは思えないんですよ。」


 こう話してくれた。そうして、違う物件を進められて、友人はそこを借りることになった。しかし、オカルト系が大好きな私は、最初の物件が気になってしまい、不動産屋に後日話を聞きに行った。すると、担当の方が今日の朝急にやめると言い出したそうだ。私は胸騒ぎがして、書類に書いてあった最初の物件の場所に行ってみた。


 私「コンコン…。」


 その物件の扉をノックすると中からは


 「シーン…。」


 当然誰もいるわけがないので、あきらめて帰ろうと下その時、背後から誰かに押された。思わず私はバランスを崩してしまい、ドアノブに手が当たってしまった。すると、扉が開いたのだ。後ろを見たがそこには誰の姿もなく、不思議に思いながらも、私は空いた扉を見つめて、何を思ったのか中に入ってしまった。すると…


 私「ヒッ…。」


 玄関の前に、あの不動産屋で担当になってくれた方がバラバラの死体となっていた。そこからの記憶はあまりなく、警察も私を犯人と疑わなかった。だが一つだけ不可解な事があったというのだ。それは・・


 あの物件の鍵は壊れてしまい現在鍵を作成中のため、家の鍵は閉めていたんだとか。そして、鍵は今誰一人として持っていないのだとか。さらには、あの扉にはピッキングをされた跡がなかったそうだ。


 ではいったい、あの担当の方はどこから入ったのか。そして、誰に殺されたのか。今となっては分かるわけもない。


 

 


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