第47話 ウツロ VS 氷潟夕真

「アルトラ、ライオン・ハート……!」


 氷潟夕真ひがた ゆうまは一体の、獅子ライオンをモチーフにした獣人の姿に変貌を遂げた。


「それが、お前の能力か……!」


 ウツロは驚愕した。


「さあ、ウツロ、お前も変身するんだ。毒虫の戦士の姿にな」


「……」


 ウツロは意を決した。


 戦わなければ、龍子りょうこが危ない。


 彼は氷潟夕真の言葉にしたがうことにした。


「虫たちよ――!」


「ふん」


 刀子朱利かたなご しゅりはクスッと笑った。


 旧校舎のいたるところから、異形の軍勢が集まってくる。


 「あるじ」の命にしたがい、その本懐を果たすために。


「……」


 氷潟夕真は隠しつつ生唾を飲んだ。


 その姿、いや、漂ってくるオーラのような覇気に。


 虫という存在の本質、その結晶であるような姿。


 部分的に軟体だったり甲殻だったり。


 醜いようで美しい。


 そんなことを考えていた。


「さあ、氷潟、言うとおりにしたぞ」


「よし、行くぞ、ウツロ……!」


 こうして二人の戦いの幕は、切って落とされた――

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