第2話:労働形態による“差別”と“区別”

 労働形態が複雑化している現状を考えるとそれぞれの利点と改善点が交錯しているように感じる。例えば、給与などの所得に関しては正規雇用の人たちの方が多くもらえている傾向がある。もちろん、選ばれた人たちなので、たくさんの所得を得られるのは言うまでもない。ただし、責任が重くなるため精神疾患等を引き起こしやすい部分もある。また、仕事量も多いため、残業しても問題はない。という認識があるため、残業超過などを引き起こす可能性も少なからずあり、場合によっては残業規定時間を超過した場合には支払わず、天引きしてしまう場合もある。だからこそ、働いている正社員の立場から考えれば、どこまで残業をして、どこまで業務と考えるべきなのかを悩んでしまう。


 非正規雇用も同様だ。ただし、アルバイト・パートなどの間接契約(会社と契約をするわけではなく、店舗と契約する)に関してはいくつかの疑問を残す結果になる。例えば、よく聞くのは「長く働いているにもかかわらず給与が上がらない」だったり、「人間関係が難しくて孤立してしまう」などかなり抽象的ではあるが、かなりの割合で発生する“マネジメント・ミスマッチ”だ。確かに、正規雇用であれば、解雇や不当な扱いは禁止されているが、非正規雇用では労働規則などが存在しないため、解雇などが簡単にできてしまう。つまり、会社が傾いた場合には正規雇用の社員よりも立場の弱い非正規雇用の社員が職場を去らなくてはいけない場合もある。だからこそ、現在の労働形態の逆転現象を食い止めなければ間違いなく労働難民という名の求職者が増えていく。だからではないが、そうならないためにも国や地方自治体などのいわゆる公的機関がきちんと統制を取らなくてはいけないだけでなく、三権分立の中にある国民の義務として掲げられている労働権の遂行を円滑に出来るように考えなくてはいけないだろう。そのためには相互間のコミュニケーションが重要になってくる。良く言えば、きちんと情報を共有し、労働に関する相談などを行う際にはきちんとした対処なり、経済支援等を考えなくてはいけない。これは、決して義務化する訳ではない。しかし、現状を鑑みるとかなりの格差を生んでしまっているように感じる。もちろん、夢を追いかけるためにそのような選択をしている場合もあるが、大抵は生活が苦しいなどの経済的な理由も存在する。そして、正社員であっても子供が幼い場合などはそのようなバイトも難しい。だからこそ、会社での柔軟な対応が求められるわけだ。


 私は、正規・非正規雇用採用統一基準の制定をしてはどうかと考える。これは、いわゆる労働契約時の扱いを統一し、正規雇用に認められている権利を非正規雇用にも同等の権利を付与し、労働者本人からの申し出がない一方的な解雇は認めず、各社の就労規則における懲戒規定などに抵触するなど業務に支障をきたす場合に限り解雇できるようにしてはどうだろうか?これは、実質的な経営刷新における労働環境の整備につながり、立場が違えば責任も変わるが、非正規雇用で働いている社員は社内における立場がそこまで高くない場合が多い。だからこそ、会社側が社員としてみるのか、社員というよりも緊急要員としてみるのかでは着地点が異なってくる。


 今、人手不足となっている背景にはきちんとした労働環境の整備が遅れていることにより、労働環境の悪化や待遇の格差の是正を遂行することが難しいのだろう。そのため、会社に勤めることはあまり重要視しなくなる人も増えているように感じている。特に、学生のほとんどは最初から就職するつもりではなく、数年間の社会勉強が出来れば良いかなという感覚なのだろうか?とも思ってしまう。もちろん、自分の夢を求めて辞めてしまうのもあるが、どちらかいうと労働対価と社員評価などの数値目標がつらく感じてしまうのかもしれない。そういう状況を是正しなければ人員不足は改善することはないだろう。そして、若手の傾向などを詳しく調べるなど企業努力も含まれている。


 労働形態における偏見が少しでも減っていくことが労働力確保には重要なのだろうと考えている。

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