第31話:盗賊団を捕らえようの旅
獣人族の町〈ヒュユク〉で迎えた朝。朝食を済ませた俺はなぜか部屋の中でクリハと一緒に立たされている。
「いいか!盗賊団を甘く見るなよ!油断すると命を落とすかもしれない!気!閉まってるか!」
などとふざけているのは朝からハイテンションのロビン。しかも今回はクリハは関係ない。
「作戦を言おう。まず、町の人たちに協力してもらい偽物の荷馬車を盗賊団に狙わせる。そして出てきた盗賊団をおいらたちが捕まえる。名付けて、盗賊団を捕まえよう作戦だ!」
そのままのネーミングに俺にはため息しか出ない。
「では、行くぞ!」
最後までふざけていくロビンであった。
俺とロビンは盗賊団が襲ってくるまで荷物に隠れて身を潜めていた。
荷馬車は俺のデザインで、豪華っぽく警備が手薄風にしてある。
盗賊団が引っ掛かってくれることだけを願う。
すると馬車が急に止まった。
来たか?俺はこっそり様子を窺う。
しかし人の気配が一切しない。道を見ると大きな木が倒れこんでいた。道がふさがっているようだ。
運転手一人じゃ除ける事はできなさそうだったので仕方なく俺は馬車から降りて木を除けるのを手伝った。
木を除け終えた俺は手を叩く。昔と違ってあまり腰に響かない。若いっていいね。
「タクミー!」
ロビンの叫び声に反応してすぐに振り返ると、盗賊団が荷馬車を取り囲んでいた。
「こいつは返すぜ」
盗賊団の一人が何かを放り投げた。
「どわ!」
何かがバウンドしたと思ったらロビンだった。
「逃がすものか!」
ロビンは荷馬車に向かって雷球を投げる。
だが、ロビンを投げた男が雷球を防いだ。俺の魔力障壁結界に似た結界で防いだみたいだ。結界からは冷気が出ていた。
盗賊団の一人は氷属性。ロビンと相性が悪いみたいだ。
「ロビン」
俺は即座に抽出、加工を使って鉄の小さな刃物を作り出す。
「任せろ!」
ロビンの雷によって俺が作り出した鉄の刃物が次々と盗賊団を襲う。しかし、全てさっきの結界に防がれる。
俺は剣状に鉄を作り、相手に切りかかろうとするが自分の体が動かない事に気が付いた。正確に足が動かない。
足元を見ると霧、いや冷気が流れていた。足は氷で動かなくなっている。
なら、宙に浮いているロビンに、と思ってロビンを見るがロビンは凍っていた。
そして盗賊団は荷馬車と一緒に騒がしく俺達から姿を消した。
作戦失敗。作戦を立てた当の本人はアイスになっていた。
俺は足が凍っていてとてもひどい痛みを覚えていた。足は酷く凍っている。びくとも動かない。
途中から運転手が手伝ってくれた。
俺とロビンは何とかヒュユクに戻ってこれたが、怪我をしてしまったことに変わりはなく、クリハが俺たちの元に来るのはすぐだった。
俺はクリハに用意してもらったお湯に足を付ける。ロビンはアツアツのお湯に煮られているだろう。
それにしても盗賊団が荷馬車ごと持って行ってくれたのは感謝だ。
なんせ、俺が考えていたプランが成立するには盗賊団が荷馬車をアジトに持って行かす事が前提だった。
そして今、好都合な事に決行できるプランだ。しかし、厄介なのはあの氷属性の男。
あの結界が邪魔で拘束することが出来ない。
どうしようか・・・・・・。
そう考えこんでいるとき
「ギャー、アツイ!アツイ!助けてくれー!」
煮られているロビンの悲鳴が聞こえてきた。その後すぐにクリハが「すいません!今助けます!」と声が聞こえてきた。
たまにドジなところがあるクリハだ・・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます