第26話：彼女の旅【後編】
「おー、これだけあれば、良いのが見つかりそうだな」
ここは平民が足を運ばせる街だ。店に並ぶ品は値が張らず、多種多様な服がたくさんある。
「すいません」
ただ、ここの店は服の量があまりに多いあまり俺達だけじゃ当然選びぬけない。
だからこそ、俺は店員に頼ることにした。
「はい？」
エプロン姿のお姉さんが俺たちの元に来た。
「この子に合う服を５組ほどお願いします。お金の事は気にしないでください」
「す、すごくかわいい子ですね。これはやりがいがありそうですね」
彼女を見て、彼女の可愛さに涎を垂らす店員。
こいつただならぬ変態だ。
そして、変態店員のお陰で２時間後。
俺達の気力はほどんどゼロに近かった。何度も何度も店員が
「これはどうですか？」「これ何てっとても似合いますよ」
と繰り返し繰り返し、まるで彼女を着せ替え人形のように扱っていた。
結果、彼女に似合う服を６組を買った。
店を出るころには、日が暮れ始めていた。
宿についてはロビンがベットに飛び込んだ。
「疲れたー」
俺もつられてベットに飛び込む。
後に入ってきた彼女が
「ご主人様、ご食事が出来ているそうです」
宿屋からの伝言を僕らに伝える彼女。
「お持ちしましょうか？」
「いや、いいよ。今行くよ」
「ご飯～」
疲れを癒しにロビンはユラリユラリと宿の一階の食堂に足を運ぶ。
「お、兄ちゃん、ロビンちゃん、もう出来上がってるよ」
「ありがとう！」
「ありがとうございます」
ロビンはさっきまでの疲れが吹っ飛んだようで元気よく席に着いた。
「あ、すいません」
俺は机を見るなりすぐに宿屋の人を呼ぼうとする。
しかし、その声を防ぐように俺たちの机に皿が置かれる。
「三人分、だろ？」
宿屋の人がそう言った。
そう、奴隷は普通、ご主人様の後に食事をするそうだ。だが、俺はそんあ制限を掛けたりしなし、するつもりなどない。
「ありがとうございます」
「それにしても変わってるねぇ。あんた」
宿屋さんが不思議そうに声を漏らしながら厨房に入っていく。
「奴隷と一緒に食事するなんて」
厨房から宿屋さんの声が聞こえてくる。
「まあ、奴隷として買ったわけじゃありませんから」
「お人好しはほどほどにしておきなよ」
宿屋さんからの忠告を受け止めて俺たちは手を合わせていった。
「いただきます」
「いや～、ばあちゃんのご飯はおいしいな」
お腹いっぱいにご飯を食べて満足そうなロビン。相当満足したのかお腹をポンポンと叩いている。
「じゃあ、そのエネルギーで今日も頑張ろうな」
「はぁ～。今日ぐらいさぼれると思ったのになぁ～」
俺とロビンは魔法石を取り出して、それを手の平に乗せ、目を閉じて集中する。
体に走る魔力を。足先、手先まで全身の魔力の流れを感じ取る。
こうすることで、魔法のレベルが上がったり、魔力量が増えたりするそうだ。
魔導書によるとこれを
これを毎晩、俺とロビンはさぼることなく行っている。
１時間後
集中力が切れ始めたので、魔力制御を止めた。
「疲れたー」
ベットに座り込むロビン。
「タオルです」
彼女がタオルを俺とロビンに渡してくれた。
「ありがとう」
「ありがとな」
汗はそこまで掻いていないが、彼女の気遣いを否定するつもりはない。むしろ、感謝をする。
「そろそろ、寝るか」
体も疲れを感じてきたうえにもう月が真上に来ているような遅い時間になっている。
ベットは２つだが、俺とロビンが一緒に寝ている。
「じゃあ、明かり消すぞ」
俺の魔法によって照らされている部屋の明かりをロビンと彼女の返事を聞いてから俺は消した。
ベットに入り込んだ俺は一瞬で眠りについた。
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