第20話:鉱石採取の旅【中編Ⅰ】
俺は今、ドワーフ国の中央部にある、東京ドームのような広場に足を運んだ。
理由は、ただ、トーリンさんに言われるがままついて来ただけ。
「トーナメントに入れておいたから、勝ってこい」
「何に?」
純粋な返答をした俺。
トーナメント?勝ってこい?俺何の大会に出るの?変なのはやめてくれよ。
「はい、一様持っておきな」
トーリンさんは俺に長い鞘に収まっている洋剣を俺に渡した。
あ、ヤバいやつだ!
数十分後。
『さぁ、第107回武道会、もう一回戦の半分が終わりました。続いての試合は、前回準優勝した、職業、冒険者のライナリー選手。対戦相手は国家維持協会支部、鍛治職、トーリン・ユミル様の推薦による選手。タクミ選手。職業は冒険者、兼旅人だそうです。旅人なんて初めて聞く職業ですね』
おい!あの実況者。俺を超煽ってやがる。1発ぶん殴ってやりたい。
トーリンさんの推薦ってことは簡単にこの試合に参加することができないのだろう。いい機会だから俺の力を見せてやる。俺は前世で沢山の山を登り、川を降り、滝の登った人間だ。(最後のは嘘だが・・・・・・)
その力を発揮する時が来た!トーリンさんの顔に泥を塗らないように頑張ろう。
「初め!」
審判の声とともに相手が剣を抜いて襲ってくる。
俺は、一歩も動かず相手の攻撃を待った。
相手は縦や横に剣を振るが俺はそれを余裕で避ける。だが、相手もまだ本気を出していないだろう。首元のある紫の石。
雷属性の魔法石だ。
「くそ!ちょこまか避けやがって」
文句をいう相手だが、俺は一切気にしない。
「いいぞー!タクミー!がんばれー!」
ついさっき、俺が試合に出る前に目が覚めたロビンの声が目立って聞こえる。その隣には感心して腕を組んでいるトーリンさん。
俺はそれを横目に剣を避ける。
「くそ!落雷!」
相手がそう詠唱した。俺は慌てて上を見上げる。真上には雷雲が一瞬で発達し、俺へ雷が落ちてきた。
そしてその雷は直撃した。俺の・・・・・・魔法障壁結界に。
もちろんこの結界魔法はもう、魔法スキルへとなっているので無詠唱に発動する。
そして俺が無傷であることに相手と実況者が驚く。
俺は実況者の方を見て、ドヤ顔でさらに嫌味のような笑みを浮かべた。
「クソッタレ!
今度は槍状の雷が複数俺に襲いかかってくるがそれももちろん結界で防ぐ。
さて、ロビン一人が俺に応援している様子はいつまでも見てられない。
準優勝者とはいえ俺の本気には勝てないだろうな。
そしてつい最近覚えた魔法があるのだ。この魔法は詠唱が必要なのだが、すごいのだ。戦闘向きではない魔法だが、工夫をすればすごく戦闘に役に立つ。
たとえば、さっき魔力障壁結界にあたった魔法を一旦別の時空に移す。そしてその時空を開く場所を操作すると、
「創時空収納魔法、展開!」
そう詠唱すると相手の真上に大きな縁が浮かび上がりそこからさっき俺に放った雷魔法が彼に直撃する。
しかし、この魔法にはデメリットがある。
時空収納魔法と違い指定のものだけが出せないのだ。それは俺がまだ制御できていないのが原因だ。
だから彼の頭上には雷以外の何かが落ちてきた。
道中で倒した遺跡の守護機の一部だった。収納魔法だけじゃ収まりきれなかった部分だった。
彼の頭の上に落ちた守護機の一部は床に転がり、彼は頭を打った衝撃で気絶。
よって
「しょ、勝者!タクミ選手!」
俺の本気で圧勝した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます