『な。お前のこと好きだっただろ?』


「これ、どんな顔すればいいのかわからないなあ」


『そんなに焦らしてやるなよ。振り返って、抱きしめてやれって』


「はずかしいなあ」


『俺はいま安心してるよ。お前が年相応に初で』


「言わんでくださいよ。これ、このまま振り返らないで歩いて帰っちゃ、だめすか?」


『だめっすね。その場合はいま録画している映像と音声を街の正義の味方中にばらまきます』


「やめてくれええ」


『いま振り返ってその子を抱きしめれば、録画は消してやるよ。いまオンラインしている人間しかこれを知ることはない』


「ちなみに今オンラインなのは?」


『俺と、俺の恋人』


「あなたの恋人管区総監じゃないですかあ」


『そうだね』


「詰んだよお。管区の通信で録画されてるよお」


『まあ、管区の人間にはバレるな』


「うええ」


『ほれ。はやく振り返って告白しとけ。女の子のほう限界だぞ。泣き崩れるぞ』


「セックスはしたくないなあ」


『そこはほら。学校卒業してからとか、適当な理屈つけて回避できるだろ』

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