第4話 追憶

 俺には二人の幼馴染がいる。

 リュウヤとナナ。中学高校と同級生で部活も同じ、遊ぶ時もいつも三人一緒だった。


 気付いた時には俺はナナのことが好きだった。そして、リュウヤもナナのことが好きだった。いつも俺かリュウヤがそばに居たからだとは思うが、ナナが他の男子に告白されているのは見たことがなかった。


 どっちがナナと付き合ってるのかとはうんざりするほど聞かれたけどな。


 ナナは明るくて優しくて愛嬌もありみんなの人気者だった。けど、俺は三人での居心地の良さが好きだったからナナに告白は出来なかった。いや、ほんとはナナはリュウヤのことが好きだと思っていたから告白出来なかったのかもな。


 リュウヤはスポーツ万能で見た目も良く、男の俺から見ても格好良い男だった。リュウヤとナナはまさにお似合いって感じだったし、俺はほんの少しだけ引いた目線で見ていたかもしれない。例え二人が付き合ったとしても、俺たち三人の友情は変わらないと信じていたから。


 いずれにしても、これからもずっと一緒だと思っていた俺達の学校生活が突然に終わりを告げるなんて、あの頃は全く思っていなかったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る