第2話 王女救出

 目を開けると洋風な広い部屋にいた。自分の体を見ると漆黒の全身鎧と黒色の剣を装備していた。頭の中で理解できる。この鎧がガーディアだと。しかしこの部屋には誰もいない。さっきの話の王女はどこにいるんだ?


『アマネ、この部屋を出て階段を登れ!そのすぐ前の扉を開けた所に王女達がいる。急ぐんだ!』


 脳内にガーディアの声が響く。装備している間は会話が出来るようだな。


「分かった!その部屋に入ったら俺はまずどう動けば良いんだ?」


『広間の奥に女が二人いる。それ以外は全員敵だ。迷わず切れ!やらなければやられるのはお前だからな』


「分かったよ。急いで移動する」


 階段を上がり扉を開けると二人の女性を襲おうとしている男が五人いた。そのうち四人が女性の周りに展開されている光の壁を攻撃している。残りの一人は後方から指示を飛ばしているようだ。まずは四人の方をやらなければ、俺は手に持っていた黒剣を4人めがけて思い切り振るう。


 たしかな手応え、素早い動きで一人ずつ斬り伏せる。四人はもう動かない。


 武道も何もしていない俺がこんな動きが出来るなんてガーディアの力はとてつもないもののようだ。この調子であと1人も倒さなければ。


『アマネ!!目の前の男は相当強いぞ!心してかかれ!』


 ガーディアの声が頭に響く。目の前の男の両手に赤い炎が凝集していく。


 すると敵はこちらに話しかけてきた。


「我が名は帝国軍将軍ベルトールと言う者だ!貴様が王国の召喚者であるならば、今ここで我がすべての力を持って倒さねばならぬ。覚悟して受けよ!エクスプロージョン!」


 ベルトールの名乗る男の両手の炎が俺に向かってくる。体の衝撃と共に激しい痛みが俺を襲う。何とか近づかなければ斬ることが出来ない。しかし敵は連続で炎をぶつけてきて中々近づけない。このままじゃジリ貧だ。


『アマネ。このままではやつには勝てないだろう。だが、私の更なる力を与えればおそらく勝てるはずだが、その代償にアマネの記憶を奪わなければならない。あまり気が進まないのだが、お前は自分の記憶を代償に力を得るか?』


 ガーディアの最初に言っていたデメリットとはこのことだったのか、しかし、この状況では記憶以前にこの場にいる全員の命が危ない。


「ガーディア‼︎俺は記憶を捧げる!更なる力を俺に与えてくれ!」


『了承した!お前の記憶と引き換えに新たな力を授けよう。叫ぶのだ!スラッシュストームと!』


 俺は剣を持っていない右手をベルトールに向け広げ叫ぶ。


「スラッシュストーム!」


 するとベルトールの周りに風の刃が発生しダメージを与えていく。しばらくして風の刃が消えたがベルトールはまだ生きているようだ。


 トドメを刺さなければと思うが体に思うように力が入らない。だがここで俺が倒れるわけにはいかない。


「ククク、此度の召喚者の力がこれほどまでとはな?我がここで今死ぬわけにはいかぬ。ここは引かせてもらおう。皆の者!撤退せよ!」


 そう言ってベルトールは影の中に消えていった。すると部屋の空気は一気に弛緩した。

 俺は目の前が真っ暗になりそのまま倒れた。

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