俺はどこからどう見ても男なんだが????
音夢威(ので起こさないでください)
第1話 始まりはいつも唐突である、恐らく始まってないとは思うけど
pipipipipipipi……
そこまで喧しくない目覚ましの音と共に俺、
「おはよー杏ちゃん朝ごはん出来てるから早く食べて学校に行きなs……」
何時ものようにお袋はキッチンで料理を手際良く作り弁当に盛り付けながら、
「どうしたんだよ。なんか俺の顔についてるん?それなら顔洗ってくるけど」
「…………」
お袋は固まって動かない。ややあって、少しは動けるようになったらしい。古臭いロボットの如く手をバタバタとさせながら走り出した。
「……ちょっとまっててくださいね!?おとーさーん!!!!おとーさん起きて!!!!!よくわからないけどよくわからないのよ!!!!!家に
お袋は親父の部屋に走って行った。俺は突然のお袋の奇行に戸惑いビビりつつ、とりあえず仕方ないので俺の席に座って朝食を摂る。ちょうど良い焼き具合のトーストを頬張り牛乳で流し込みながら今日の授業の時間割を確認をしておく。鞄の中には全教科入りっぱなしであるのであまり意味のある行為ではないが日課とはそういうモノである。
「今日の授業だるいなぁ……地味に中身が重い。」
「えっと、キミは杏弥の友達だったりするのかな?あと、なんで杏弥の制服を着てるのかな?」
親父が現れて突然よく分からない事を言い出した。お袋もこちらを伺うように見ている。
「何言ってんだよ親父、朝からおかしいぞ。俺は俺だよ。何の話をしてんだ?」
「えっと……どういうことかね?」
「あ、とりあえず杏ちゃんを呼んでくるわね!」
「だから、何言ってんだよアンタら!俺はここに居るだろ!洲枯杏弥はここに居ます!!!初めて飼ったペットはウーパールーパーで名前はポチです!!!!!」
「「……???」」
両親は困惑して顔を見合わせている。
「俺は杏弥だよ!証拠にほらコレ!」
俺は学ランを脱いで脇腹を見せる。そこには幼少期に田舎の爺ちゃん家で遊んでいた時に転けてナタでざっくりとやってしまった時のかなり大きく特徴的な傷痕が残っていた。
「それは……じゃあ……杏弥なのか……?」
親父は困り果てたように声を絞り出す。ついでにちょっと顔を背けてあまり見ないようにしてる。お袋はお袋で顔を隠して指の隙間から見てるし……
俺はなんでそんなに困ってるのか理解できずにいた。そういやさっきお袋が気になる事を口走っていたな……
”知らない女の子”?
待て、俺を見て”
それってつまり……
俄然テンションの上がった俺は困惑してへたり込む両親をリビングに置いてスキップしながら洗面台に向かった。
…………
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