三人称からマイナスイオン
つくのひの
神の視点は魔法のインディゴ 〜〜はじめに〜〜
この小説は、三人称視点を題材にしたメタ小説風コメディ小説です。
三人称視点を題材にしているとは言いましても、創作論を語るものではなく、あくまでも小説です。しかもコメディです。
三人称視点とは何か、ごく簡単に説明させていただきます。
三人称視点とは、作中には登場しない外部の者(主に作者)の目を通して作品の中の世界を見る視点のことです。
誤解を恐れずにわかりやすく言えば、登場人物ではない者の視点が三人称視点です。
三人称視点なのかそうではないのか、わかりにくいケースもございます。
たとえば、ある登場人物が語り手で、その人物が極力客観的であろうと努めて語っている(そのように書かれている)場合などは、一見すると三人称視点のようではあります。しかしながら、それがどんなに客観的であったとしても、その人物の主観である以上それは一人称視点である、というのが私の個人的な意見です。
正直なところ、三人称視点とは何か、そこまで厳密に考えなくてもよいのではないかとも思います。語り手が登場人物なら一人称視点で、それ以外なら三人称視点だ、くらいのふんわりとした認識でも差し支えないのではないでしょうか。
ミステリーの叙述トリック等ではさらなる例外も見られることと思われますが、基本的には上記の解釈で問題ないかと思います。
三人称視点にもいろいろとございます。
ある登場人物に寄り添って、その人物の主観であるかのように世界を眺める書き方。
それとは逆に、客観的に世界を眺める書き方。
あるいは、すべてを把握する神の視点で世界を眺める書き方。
この場合の神の視点というのは、作者の視点のことです。
作者であれば登場人物の内面だけでなく、作品の中の世界のことも知っていますので、神の視点で書くのであれば、登場人物の心理だろうが、あるいはまだ起きていない未来のことであろうが、なんだって書けてしまいます。
この小説では、なるべく神の視点を介在させないように、極力客観的であるようにと心がけて書きました。
この小説内において、「三人称視点」と書かれている場合、それは単純に客観的な視点のことだと思ってください。
コメディとして面白くなるようにと、作中では極端な物言いをしております。
たとえば、三人称視点ではこのようには書けない、というような。
このことは、誰かの意見、主張に対して否定する意図を持って書かれたものではございません。その点を心に留めておいていただけますと幸いです。
小説というのは書く者の裁量で自由に書けるものであり、その自由さこそが創作の醍醐味であると思っておりますので、作中で語られる意見を鵜呑みにすることなく、あるいは既存の創作論に縛られることなく、自由に創作を楽しんでいただきたいです。
くれぐれもこの小説を創作論として真剣に読まないでください、とお願い申し上げつつ、それでも、この作品を読んでもしも何かしら得るものがあったとしたら、それは作者にとって望外の喜びです。
そして、コメディとして、少しでもお楽しみいただけますと幸いです。
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