第3話
カフェにつき、私達は向かい合う形で座った。そしてお互いに好きなもの――コーヒーと紅茶を頼む。それらがウェイターから運ばれてくるまで、杉村先輩は頑なに話を始めようとしない。無言のままというのも気まずいので、私は何気ない世間話を振り場を持たせる。杉村先輩はどこかそわそわしたような様子で、私の話に相槌を打つだけだった。
ようやく各自の飲み物が運ばれると、杉村先輩がようやく本題について話し始めた。
「突然だが、驚かないでくれよ」
私はコーヒーを飲みながら頷く。
「僕、神矢家の鍵の場所が分かったんだ」
私はコーヒーを吹き出しそうになるのを何とか堪えて、杉村先輩に続きを促した。杉村先輩は自信満々に話を続ける。
「この間、君が神矢家の前でポストカードを拾ったって言っただろう。あれがヒントだったんだ」
「でも、あれ何も書いていませんでしたよね?」
私の疑問に、杉村先輩はチッチッチッと舌を鳴らしながら人差し指を横に揺らす。
「書いてあったんだよ。見えない文字が」
杉村先輩はそう言うと、その文字について説明を始めた。
杉村先輩はあのポストカードを見た時、何も書かれていないのに表面がボコボコしていることに気がついた。それが何かの筆圧ではないかと思い鉛筆で一面を塗りつぶしてみると、文字が浮き上がったという。紙を引いてその上から強い筆圧で文字を書いたから、それが出来上がったんだろうというのが杉村先輩の見解だった。
「それで、そこに書かれていた文字なんだけど、これなんだ」
先輩はそう言うと私が渡していたポストカードを取りだした。鉛筆で塗りつぶされており、確かに文字が浮かび上がっている。
『1235-16-1256-1356 16-5.12346』
「文字って言うか、数字じゃないですか」
私のツッコミに、杉村先輩はニヤニヤと笑っている。
「この数字は文字を表しているんだよ。つまり、暗号だ」
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