いただきます

勝利だギューちゃん

第1話

僕は今、水槽の中にいる。

いつからいるのか、わからない。


気が付いたら、ここにいた。


もうじき僕は、食べられる。

ここに来る、人間という生き物の、血となり肉となる。


板前という、人が僕たちを、調理する。

これまで、たくさんの仲間が去っていった。


僕もここにいる間は、餌をもらっている。

なので、食べられてしまうのは運命なので、あきらめている。


どうせ、いつかはそうなるのだ。

自然界にいても・・・


ただ・・・


どうせ食べられるなら、僕もその相手を選びたい。

気に入った人間の、血となり肉となりたい。


今日も、たくさんの人間が、食を楽しみにやってきた。


あのおじさんは・・・やだ。

あのおばさんも・・・やだ。

子供・・・やだ。


きれいなお姉さんがいた。

うん。

あの人がいい。


あの人の血と肉になれるのなら、この命を差し出そう。

神様。

せめて、あのきれいなお姉さんに、食べられますように。


しかし・・・


この日は、水槽の中で生き延びる事が出来た。

水槽の中の仲間と話しをする。


「今日も、生き延びたな」

「でも、明日はわからない」

「でも、ただ惰性にこの中にいるくらいなら・・・」


そう・・・


はっきり言ってストレスがたまる。

ストレスがたまった僕たちは、美味しくない。

そうなると、破棄される。


食べられるのは、正直嫌だ。

でも、破棄されるのは、もっと嫌だ。


人間の皆さん。

あなたたちが生きるためには、喜んで命を差し出します。


なのでせめて、あの一言をお願いします。

それだけで、成仏できます。


次の日、僕は夢?が叶い、きれいなお姉さんの血となり肉となることができた。

刺身という姿になった僕を見て、お姉さんは笑みを浮かべてくれた。


さてと、お姉さんはきちんと言ってくれるかな。

僕はそれを、天国から見てる。


お姉さんは、手を合わせて言ってくれた。

これで僕も、成仏できる。

天国で、暮らせる。


「いただきまーす」


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いただきます 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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