あの空
森嶋 あまみ
第1話 あの空
大きな空を飛んでいたのはいつの事だろう。僕にはもう、その大空を飛ぶ翼がない。
歩いていたはずの道が遠くに見える。僕にはもう、その道へ戻る術がない。
間違ったわけじゃない。
偽ったわけじゃない。
ただ一つ言えるなら、たった一つの大事な夢さえ、僕の自由にはならなかった。
記憶の中の君は何もかもをわかっていて、僕に微笑む。
それなのに……君の向かう空に僕は居ない。
ゆるゆると動いていく空の雲は、こんなに白くて綺麗なのに。
風が吹くたびに僕は夢想する。
遠いあの日の影を追う。
僕らが追っていた空を、君は今ひとりで飛んでいるのだろうか……
あの空はもう遠い……
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