水中世界は、ロマンス色。

花沢祐介

プロローグ

「このネオンテトラ、きっと恋をしてるわ」


 乃愛のあは水槽を眺めて、はしゃいでいる。


「それは、クリスマスだから?」

「ううん、寒いからよ」


 この会話を初めて聞く人からすれば、何のことだかさっぱり分からないかもしれない。きっと半年前の僕も、例に漏れず困惑するだろう。


 僕たちは今、水族館へ遊びに来ている。そして今日はクリスマスイヴ。

 先週、僕が乃愛をクリスマスデートに誘ったのだ。果たして、彼女がどこまで真意を理解しているのかは分からないが――。

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