最後の缶詰
犬屋小烏本部
第1話もしも
例えば、世界の形が缶詰だったら
おはよう。目を開け、起き上がる。
カーテンと窓は開けない。
外は危険だから。
メールを開く。
「おはよう、良い朝か?」
見知った仲間が返事をくれる。今日も元気そうで何よりだ。
くだらない地球戦争が起きて、最悪な兵器がどんどん使われて。植物は枯れて、動物は骨になった。異常な病気が蔓延して、一部の大人はどうしてそうなったのか言い合いをしていたが、人の勝手な行いが招いた結果としか言いようがない。
俺たちはそれぞれ部屋へ押し込まれ、何年後かに開かれる扉を見つめていた。
期間限定の安全。
その期間分は食料もある。
じゃあ、その後は?
扉が開かれた先にあるのは光か闇か。
時々思う。俺のいる世界は缶詰じゃないかと。
密閉されて完成された空間。
蓋を開けば腐敗が始まる。
缶詰の中は時間が止まっているんだ。
缶詰の蓋が外から開かれるとき。
その隙間から射し込むものは何なんだろう。
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