第5話 街に行こう!②
門番の一人がどこかに行ってから数分、私は、レイと一緒に、もう一人の門番について行って、控え室のようなとこで一緒に戻ってくるのを待っていた。
「まだ名前を言ってなかったな。俺はダニエル。もう一人の方は、グリンドという。あいつは性格がビビりだが、やる時はやるから、さっきので気を悪くしないでくれよ。」
【俺は別に気にしない。無理やり俺から下ろそうとしたら話は別だがな。】
レイの言葉を聞いて、ダニエルさんが青い顔をしていたのは、見なかったことにする。
暇になったので、ダニエルさんは、グリンドさんの先輩かと聞くと、
「あぁ。グリンドはまだ見習いだと、俺は思ってる。実際は違うけどな。」
と、こんな感じでグリンドさんを待っていた。
しばらくすると、ガチャッとドアが開いて、部屋の中にグリンドさんと、知らない人が三人入ってきた。
「お待たせ致しました。呼んで参りました。」
「ありがとう。ここまで来ていただき、感謝致します、王子。」
「いや、大丈夫。仕事もなかったしね。」
「失礼ですが、殿下。仕事はまだ残っていますよ。」
「そうですよ、殿下。明日に伸ばしたんじゃないですか。」
「ぐっ…。」
王子?てことはあとの二人は護衛かな?顔がすごいそっくりだ…。てか、その…。
護衛のようなお二人の頭に、獣耳があるのですが…。尻尾も生えている…。
ぐぅ…、触りたい。モフモフしたい!
そんなことを考えていたら。
「あぁ、失礼。挨拶がまだだったね。私は、この国の第三王子の、ヴィンセント・カルバンだよ。君の名前を教えてくれる?」
「はい!私はアヤネって言います。よろしくおねがいします。」
「あぁ、よろしく。それでこっちは、護衛の、ノエルとシアだ。」
「ヴィンセント王子の護衛をしている、ノエルと言います。以後お見知りおきを。」
「おなじく、護衛のシアと言います。以後お見知りおきを。」
「こちらこそ、よろしくおねがいします!」
すっごい笑顔で言ったら、三人とも顔を背けた。
私の顔が変だったかなとションボリしてると、レイが慰めて(?)くれた。
【気にするな。アヤネの可愛さをわかってない奴らなど。どうかしている。俺はアヤネが1番だぞ。】
やっぱりイケメンだなぁ。、
レイの言葉を聞いてデレデレしてると、王子が、私が気になってたことを教えてくれた。
「ちなみに、ノエルとシアは双子で、二人とも獣人だよ。なんの獣人か分かるかな?」
綺麗な三角の形をしたピンとした耳、フッサフサのサラッサラな尻尾。私に分からないとでも!?
「キツネさん!!」
「正解。ノエル、シア。一発で当ててもらってよかったな。」
「えぇ。分からない人もいますからね。」
「そうですね。見たことない人は特に。猫とか言うし…。」
猫…。似てるようで似てないよ。
「ノエルさん、シアさん。」
「「?はい、なんでしょうか?」」
「その…耳と尻尾、触ってもいいでしょうか!」
「「…え?耳と、尻尾…?」」
「はい、そうです!モフモフしたいです!!」
「え、でもほら、お話ししますからダメですよ。」
「そうですよ。大事なお話ですよ。アヤネさんの今後に関わるお話です。」
そんなぁ…。 シュン…。
「ノエル!別に触りながらでも話は出来ると思うよ。それに、こちらとしては、ちゃんと答えてくれるならなんでもいいからね。」
「「ヴィンセント王子!?」」
「無理言ってごめんなさい…。ノエルさん、シアさん。もう言わないので、許してくれますか?」
「いいの?王子の俺がしていいと言えばできるんだよ?」
「はい。困らせたらダメなので…。」
「…。分かりましたよ。僕らの負けですよ、ヴィンセント王子。諦めよう、シア。」
「うん。これは勝てないな。さあ、触ってもいいですよ。そのかわり、ちゃんと答えてくださいね?嘘はダメですよ?」
「はい!ありがとうございます!!」
ニッコリしたら、また顔をそむけられた。なんか凹むなぁ。
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