異世界転生〜モフモフのために頑張ろうと思います〜
猫
第1話 過去の記憶
ピコンッ
(ん、誰からだろ?)
私は今、10時過ぎにやっと仕事が終わって帰宅途中だった。
【綾音〜、お願いがあるの!私、今日帰れそうにないから猫に餌あげといてくれない?よろしくね!】
(もう、世話は友香が全部やるって言ったくせに。まぁ、猫が見れるからいっか。)
友香は私の中学からの友達で、今も仲良くしている。高校の時に猫を飼い始めて、ときどき世話を頼まれていた。最近は頼まれてなかったため、バックに合鍵が入っていないので帰ることにした。
会社から家までは10分くらいの距離だから走ればすぐだが、今日は疲れていたので歩いてく。
近くには信号が多く、どれも変わるのが遅い。信号が青から赤に変わったので音楽を聴きながら待っていた。
すると、急に頭と足に激痛が走り、気がついたら倒れていた。
(あれ、動けない。頭から生暖かいものを感じる…。)
その時、私は小さい頃の記憶がフラッシュバックした。
私は平均より小柄で、他の人と並ぶと凸凹して目立ってしまう。
それは、両親が私にご飯をくれなかったのが大きな影響を与えていた。
頭がいい訳でもないのに、テストで80点以下を取ると自習課題を増やされ、2時間半以内に終わらせないと「遅い時間だから。」とご飯の量を減らされていた。そのうち食欲もなくなり、給食も半分残す頃になって、先生が親に電話した。
親は「残すなら家でも食べるな。もったいない。」などと言って、どんどん私のご飯は減らされていった。
ご飯を貰うために勉強して、テストで初めて98点を取る事が出来た。母に見せたら「なんで2点落とした。やっぱり出来損ない。」と言った。
私は、その日初めて親に反抗した。
「私はお母さんのご飯が食べたい!そのために頑張った!」と。
でも、それが余計だった。「うるさい!出来損ないは勉強していいとこ入って金稼げばいいんだよ!」と、初めての暴力をくらった。
最初はビンタだったが、背中、お腹、足と、だんだん殴られる場所が増えて言った。耐えきれなくなって先生に助けを求めてからは、孤児院で暮らすようになった。孤児院の人達は仲良くしてくれて、アザのことも何も聞いては来なかった。それがすごく嬉しかった。しばらくして、中学を転校することになり、友香に出会った。
お母さんのことを思い出して、また身体中が痛くなった。
(もう殴られるのは嫌だ、痛いのは嫌だ!助けて、先生、友香…。)
視界がぼやける中、救急車の音がよく響いていた。
ピーポーピーポー───…
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