僕とわたし(カクヨム版)

スナオ

第1話 青年と親友

ある晴れた日曜日の昼下がり。


 僕は広いテラスの椅子に座って本を開く。


 そろそろ待ち人が来る頃だろうか。


「よっ。また難しそうな本を読んでるな」


 待ち人たる男は人懐っこい笑みを浮かべて気さくにそう言うと、勝手に目の前の椅子に座り、土産の菓子をテーブルに並べていく。 僕も自然に男の分の紅茶を入れてやる。


 日曜の午後のお茶会。これはいったいいつから続いているのだろう。この男と出会ったのは幼少の頃、入院している病院だった。何故そうなったのかは覚えていないが、この男は頻繁に見舞いに来るようになった。

 そして退院してからも毎週日曜日にこの屋敷に遊びに来るようになった。すぐに飽きるだろうと思っていたが、この男は社会人になってもこうしてここに来ている。恋人の一人でも作ればいいのに……と恋愛感情のない僕でも心配になる。


「……おーい、また考え事か?」


 まあ、なんにせよ。こいつは、僕の唯一の親友なのだろう。

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