第22話 初体験へ
中学を卒業する時に第二ボタンを貰い、そのまま勢いも相まって告白した。
真秋も自分から言えなくて申し訳ないけどとOKしてくれて、幼馴染から恋人へと変わった。
まだ教室に残っていたクラスメイト達の冷やかしと揶揄いもありつつも、ようやく一歩前に進めた。
勢いに任せた感はあるけれど、そのままキスもした。
小さい頃にした記憶はあるけれど、きちんとお互いを好きだとわかった上でキスをしたのだから、これがファーストキスだと思う。
校舎を出る時に両親達が待っていたけれど、私達の様子を見て早速ばれた。
私の父なんかは、孫はいつ見られるの?なんていっていたけど……早いわ。
この後から妹の悠子は姉離れ、兄離れをしたように感じる。
9歳のくせに変な気を回して……と思ったけど、少しほっとしている自分を感じた。
春休みは高校への準備とデートで忙しかった。
これまではそこまで意識をしていなかったのに、恋人になった途端に意識してしまう。
手が触れ合っただけでバッと離して真っ赤になるなんて、少し前では考えられない。
映画館で鑑賞している時に手を添えられた時は心臓の鼓動が早くなったし、おかげで内容が半分くらいしか入ってこなかった。
中学はセーラー服だったけれど、高校はブレザー。
スカートの丈、膝上デビューするのだ。
試着した時、上げ過ぎてわかめちゃん状態になってしまい、がっつりくまさんぱんつを真秋に見られてしまった。
小さい頃真秋と買い物に行った時に、くまさんぱんつを勧められてからというもの、一枚か二枚は幼稚かも知れないけどくまさんぱんつを今でも買っている。
想い出なのだから仕方ない。流石に大人になれば買わなくなるのだろうけど。
恥ずかしかったけど、真秋になら良いかなんて思ったけれど、流石にこのスカート丈で登校は出来ない。
再調整したちょうどいい膝丈スカートは、それでも見えちゃったりしていないか不安になる。
太腿半分近く見えてるんだよ。
都会のJKは恥ずかしくないのだろうか。
悠子にも確認してもらい問題がないとわかっていてもスースーする。
悠子がスカート捲りをするものだから、結局真秋にまた見られてしまう。
顔を赤くしていたから、意識してくれているのかな。
高校は事前説明の時に既にクラス分けは発表されている。
ぜっけん等の名札作成のために先にわかっていた方が家庭での負担が少ないからだ。
桜がまだ残る4月初旬。桜吹雪とはいかないまでも、舞い散る桜はこれからスタートする私達を祝福してくれてるかのように、燦燦と舞っている。
桜の花びらの中、桜商業の校舎へと向かう。
そういえばメグナナの二人は近隣の桜高校に進学したと聞いている。
再会する機会はないのかな?
市内の近隣の高校とはいえ距離的にはかなり離れてるし。
私のここも桜の蕾と同じでまだ開花していない。パチンコで良く聞く花びら大回転にはまだまだ先の話。
高校生になったのだから大人の階段上ってもいいよね。
出来るだけ早い方がいいな。いまどきの子はみんな早いっていうし。
高校になれば中学の学区関係なしに人が集まるからやっぱり不安は付きまとう。
彼氏彼女が居ても異性として寄ってくる人がいないとは限らない。
同じ中学出身の子も多いけど、それはそれ。
高校スタートは幸先が良かった。
真秋とも同じクラス。
初日から席の近い人から仲良くなるのは定石なのか。
新しい友達も増える。都会ではないから見た目もあか抜けている子は多くはないように感じる。
カッコいい男子、可愛い女子は当然それなりにいるけど、都会ぽさはあまり感じられない。
やっぱり田舎だなというのはどこか窺える。
初日だというのに彼氏いるのとか彼女いるのとか言う話が出たので、先に牽制をした。
「いるよ。同じクラスに。」と、変な虫が寄らないようにさっさと真秋を紹介した。
最初は照れていた真秋だったけど、付き合っている事を周知してもらえる事でお互い少し安心感を得る事が出来た。
そこから色々な話題に派生するから、話のネタには困らない。
どこまでいってるのという問いには流石に答えられなかったが……
どうやらこのクラスで現在恋人持ちは1/3程度だという事がわかった。
やっぱりみんな早い。経験者は数人だったけれど。
興味本位で聞いてみた。
書物のように簡単にはいかなかったし、色々幻想と現実の違いに戸惑いを感じたとの事。
臭いや痛みは人それぞれだと。夢や幻想だったようだ。
この時私は身体は念入りに洗おう、いざその時になったら先にお風呂に入ろうと固く誓った。
4月も中頃になり、クラスは大体落ち着いてきた。
真秋は高校でも野球部に入った。そのせいか、平日は帰るのがどうしても遅くなる。
それでも19時を超えての部活動は原則禁止のため夕飯の時間には帰れる。
また中日の水曜は部活動はない。
全国的に見れば、過去に部活活動時間が長過ぎて、亡くなる生徒が存在したためだ。
日中勉強して、放課後まで部活動をするとなれば、それは起きている時間の活動時間だけでいえばブラック企業の手前と言われても差し支えがない。
そういった観点から19時以降は禁止になるし、間で活動しない日を設けないと、総活動時間だけで見ると働き過ぎとなる。
どの道この学校の野球部は然程強くない。
同じ市内にある桜高校共々大して強くない。
参加する事に意義がある程度なので、本気で甲子園を目指している人が何人いるのやらという感じである。
あっという間に時間は過ぎ、世間はゴールデンウィーク。
半分は部活で半分はフリー。
これは色々狙っていかなければいけない期間。
久しぶりのおうちデートという事で真秋の部屋に行く。
もちろん真秋の家に来る前には念のため、お風呂で入念に洗っている。
勝負ぱんつであるくまさんぱんつも穿いている。
そんな中、真秋が席を外している間に真秋の部屋でついにイケナイものを発見してしまう。
幼馴染は~で始まるマニアックな本が5冊。
あ、うん。これは私の父が渡したな。
でも真秋が興味を持ってくれた事は喜ばしい事だと思った。
真秋が飲み物を持ってきてくれた。
前に見たいと言って、結局映画館で見れなかった作品がレンタルしていたので、借りてきたので、一緒に見ようとなった。
高校生らしくかはわからないけど、ジンジャエールのペットボトル。
映画が一時間くらいに差し掛かったところで、私と真秋のペットボトルをこっそり入れ替える。
関節キッスなんて今更だけど。
真秋がペットボトルを口に持っていくのを私は横目で確認する。
後は果報は寝て待てという事で映画に集中する。
こんな事をしていたけど、映画の内容はちゃんと確認している。
ラブロマンスで、少しお色気シーンのある映画。
映画だけでも昂らせてくれる。
途中で私は真秋に密着し頭を真秋の肩に寄り添わせる。
映画に酔ったのか、私の態度に寄ったのか、真秋は私の頭に手を置いた。
そのまま身体は更に密着し、心臓の鼓動は早くなっていく。
私はちらりと横目で真秋の変化に気付いた。
これは映画と私自身とどれによって反応したものだろう。
多分両方だろうな。
私は無言で真秋の手に自分の手を添えた。
ちょうど映画はクライマックスのちょっとHなシーンだった。
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