第1019話 マウロ島秘密3

「ダニエーレを呼んで来てくれ」

第1王子のアナトリオの命令で石壁付近に居たダニエーレが、仮本営の大きなテントに到着したところで、アナトリオが話を始める。

「ダニエーレも来たので、情報を整理しよう。海龍リヴァイアサンの子供を捕まえて、いじめることで海の魔物達を呼び寄せて魔物討伐の訓練をしていたが、そのうち手に負えなくなりこの惨劇になった、ということで良いのだな、ジラルド」

「あぁ。ただ、リヴァイアサンの子供とは知らなかったようだが」

「何の話なんですか、兄上達」

「あぁ、ダニエーレ、すまないな。先ほどその子供を治療して解放したところだ。いったんは皆の話を聞くだけ聞いておいてくれ」

「はぁ、アナトリオ兄上が仰るのであれば」

「さて、これからどうすれば良いと思われますか?ドラセム侯爵」

「魔物はたくさん討伐して来ましたが、このような事態ははじめてで。子供を返したからといって魔物の襲撃はおさまるかはわかりませんので、防衛だけは引き続き行う必要があるかと」


他に具体的な方策も出ぬまま解散となり、島を取り囲む石壁の一角にいるサラ達。

「海龍リヴァイアサンの怒りを鎮めるなんて、おとぎ話で若い女性を海に放り込むってのを見たぐらいだよな」

「まぁ効果があると思えないけれどね」

「魔物ランクで言ったらSでは無いよな。区別するならその上のSSなんだろうけれど、本気で攻めて来たら勝てないよな」

「そうね、ドラゴンをもっと従魔にしていても勝てないのでしょうね。幸いこの島は一般住民も居ないし近くにも他の島が無いから、精一杯抵抗して、諦めて去るのを待つぐらいかしらね」

「魔物が押し寄せてもこの石壁のおかげで白兵戦は無さそうだし、あってもアルテーラ王国の陸軍がいるから、騎士団員ではなく魔術師団員達を呼んでくるか。ドラゴンのドンとワイバーンのワンはもう連れて来ているから」

「そうね、危険だから中級以上だけ連れてくるわね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る