第1009話 アルテーラ勢力争い再び3

「それで、文官達とどのようなお話をされたかったのでしょうか。ガンドリオ付近の魔物退治を引き受け下さっていることと関係があるのかと思うのですが」

アルテーラの第1王子からの問いにサラが答える。

「被害を受けている漁村の住民達への支援が思うようにできていないと伺いまして、物資の納品、運搬のご提案をさせて頂こうかと」

「なるほど。以前の、別大陸であるアルメルス神国へ軍隊を運ばれたドラセム侯爵ならば簡単なことでしょうね。緊急事態ですので通常より割増した料金をお支払いします。ところで、そこに陸軍閥はどのように関わらせる予定なのでしょうか?」

「料金は市場価格で結構です。陸軍閥の皆さんには、ガンドリオから近くの漁村への再配布をお願いしたいと思っております」

「陸軍閥にも住民からの感謝を分け与えるということですか。ダニエーレは良い知己を得られたようですね。ご希望の通りになるように文官達には手配を行います」


王都ゴルガからは手続きなどを行う文官と再配布を行うための陸軍達を、コルマノン王国からは食料品などの支援物資をガンドリオの港町付近へ≪転移≫で運搬し、これにより住民達の危機をいったんはしのぐことができた。ただ、いくらティアーヌ達が近くの海の魔物達を退治していても以前ほどの漁ができているわけではなく、ジリ貧の状況は解決していない。



「アルテーラ海軍は当てにせず、ミリアーノ達と元海賊の船や船員で対応しましょう」

「ミリアーノ、もう行ける?」

「はい、まともな戦闘までは期待できませんが、ティアーヌ様達が足場にされるように沖に拠点とする程度には育成できました。不足は元海軍の我々が補助させていただきます」

先日、海賊から捕縛した元海賊船の3隻以外に、別途買い集めた3隻の6隻。それに元海賊の35人と、ミリアーノたち、元アルテーラ海軍26人。これらが分散して操船し、ティアーヌ達、魔術師団員が魔物退治に臨む。

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