第1000話 ガンドリオ調査

買ったばかりの屋敷には最低限の家具は揃っていたが、使用人用と思われるベッドなどの家具があまりに低品質であったので、それらの補充をするためと水精霊シルビーの祠の調達のために一度コルマノン王国に帰った後は、ガンドリオの街での飲食を楽しんだサラ達。


「アルテーラ王国での息抜きはこれで終わりか。仕方ない、トリストフ、カロル、よろしくな」

「はい、ハリー様。かしこまりました」

「ティアーヌたちもお願いね」

「はい、トリストフさん達とは別に冒険者として行動しての調査、頑張ります」

「気張りすぎないでね」

サラとハリーは侯爵領に戻り、入れ替わりで育成対象も含めたトリストフ達がやってくる。彼らも見慣れぬ異国の港町に戸惑いながら調査業務を開始する。ガンドリオの街だけでなく近くの漁村などにも足を伸ばし聞き込みを行う。


いきなり大きな屋敷を購入したサラ達は目立っており、その屋敷から出入りするティアーヌ達は魔物退治の腕も疑われていた。しかし、陸上の魔物だけでなく海中の魔物も大量に退治していくと、頼もしい冒険者が拠点を構えてくれた、漁が少し安全になってきたと喜ばれる。そして情報も集まってくる。その意味では目立っておいて良かったのであろう。


「では、情報共有をしましょう」

「はい、やはり近くの漁村でも海の魔物が増えて漁獲量が減ったと困っていました。この半島の先端付近だけでなくかなりの広範囲までその被害があるとの噂でした」

「ガンドリオの冒険者ギルドでも同じようなお話でしたね。いつもはもっと沖に出ないと遭遇しない上位の魔物が海岸近くでも見かけるようになったと」

「確かにそのような話があちこちでも」

「一度、沖の方まで行ってみた方が良いかしら」

「でも、いくら≪飛翔≫できる方が何人か居ても海上に拠点が無いと魔物捜索も戦闘も難しくないですか?」

「船が必要ということですね。でも、漁師も沖合まで行きたくないでしょうし、生活の糧の船を手放す人はまず居ないですよね?」

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