第996話 アルテーラ派遣

領地運営に明け暮れていたサラ達のもとへ、アルテーラ王国の王都ゴルガからの連絡が入る。

「ダニエーレ・ロリアルド・アルテーラ第3王子からのようです」

「何かしら。流石にもう側室になれという話ではないでしょうけれど」

「海で何か起こっているのを助けて欲しい、ということですね。空も飛べるドラセム家の力をあてにしたいと」

「あら、それは大変ね。すぐに行くわ!」

「サラ様、ダメですよ!今のお立場をお考えください!」

家宰ローデットには、逃げようとしていることを見抜かれており、代わりに≪飛翔≫と≪転移≫ができるティアーヌがアルベールとリリアナを連れて様子見をすることになった。


「ドラセム卿、領地運営から逃げ損ねたか。まぁたまには家臣に任せるというのも貴族当主の仕事だぞ」

「はぁ」

「それで本題だが、冒険者クランとしてアルテーラ王国の問題を解決することは問題ない。また何かあれば相談するようにな」

サラの役割は王都に飛んで宰相ジョエリー・ヤンクシオに了承を取るだけである。


「俺も行きたかったなぁ。ドラゴンのドン、ワイバーンのワンと海の上を飛ぶと気持ち良いんだよな」

「ハリー、私も我慢しているのだから、自分だけなんて考えたらダメよ」

「はいはい、増えた家臣団の訓練を引き続き頑張りますよ」

「そうそう。せめて港町からの新鮮な魚でも食べることにしましょう」



「なんだ、サラは来ないのか」

「ダニエーレ王子、そんなことを。ドラセム侯爵はご多忙なのですから。側近の魔術師団長を派遣されただけでも感謝しないと」

「タカマーノはいつまでも五月蝿いな。まぁティアーヌとリリアナだったか、二人とも美人だな。どうだ、ドラセム家を辞めてうちに来ないか?」

「王子!」「ティアーヌ様、リリアナ様、申し訳ありません。どうか呆れずにお話を聞いてください」

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