第994話 ダンジョン作成2

ダンジョンを作成するのは、魔素が過剰に集まっての魔物氾濫を回避するためや、冒険者達の育成のため以外に、ローデットから言われている目的があった。


その目的のためにハーランクにダンジョン作成依頼をした場所は、魔の森の入り口に作った開拓地の直ぐ北側である。

元々、魔の森には既にダンジョンがいくつかあるので、魔素の消費のためではない。


「ねぇハーランク、深い階層のダンジョンを作ることもできるかな?」

「それだけの魔素が必要になるのと、時間も必要ですが出来ないことではないですね」

「魔の森の入り口付近、この辺りではどうかな?」

「本当は魔の森でも、私に頂いたダンジョンのように奥の方が魔素があるので楽ですが、そこではギリギリですかね。不足しそうになれば、魔力の補充をされる前提であれば」

「それは様子を見て考えることにするわ」

「ところで。なんとなく想像されますが、意図をお伺いしても?」

「そう、ダンジョン都市を作りたいってローデットが言うの。ワチエ、ワーズなど階層が深いダンジョンの周りには冒険者、そしてその冒険者をあてにする商売人が集うから領地の発展には非常に役立つって」

「やはりそうですか。確かに地図を拝見すると、このワイバーン用に作られた開拓地の少し北側に深いダンジョンを作り、その手前にダンジョン都市の街を作ると、主街道にも面していますし、発展するでしょうね。今は周りに邪魔するものがないので、一から開拓もできますし」

「ハーランクって、さすが貴族だったこともあって領地経営もわかるのね」

「サラ嬢のお役に立てるのであれば」


ハーランクはサラ達の希望の通りに中小規模のダンジョンを新設するのに先立ち、そのダンジョン都市を構成するためのダンジョン作成に取り掛かる。

サラ達はそれに併せて、ワイバーンの訓練地とその隣に作っていた小さな開拓地レベルではない、大規模な開拓地の作成に取り掛かることになった。


「私たち魔法使いは完全に土木業ね。ドラセム侯爵家では」

「ま、戦争だけするよりも住民に感謝されるし誰かの役に立つ実感があって俺は好きだけどな」

魔術師団員の愚痴、呟きが侯爵領のあちこちで聞かれる機会が以前よりも増えることになったのは仕方がない。

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