第989話 不死魔物ボス

良い返事が貰えると思っていないまま降参の言葉をかけたら、今回の騒動のボスであろう始祖ヴァンパイアのハーランクが了承するような発言をして驚くサラ達。

驚いたままであるが謁見の間のレイスを全滅させた後、数十人の仲間達と油断することなくハーランクに対面する。


「降参するのは本気?」

「そうだね、この戦力相手では簡単に負けてしまうだろうからね。せっかく不老不死になったのは知識欲を満たすためなのに、無謀な戦いを挑んで消滅するつもりは無いからね」

「これだけの魔物の氾濫を起こした張本人じゃないの?」

「うーん、そういうつもりは無いのだけどね・・・」


ハーランク・フォン・タウバイクが語り出す。

元々はこの城のあるダンジョンの奥でひっそりと知識欲を満たすように暮らしていたのだが、この森の魔物の間引きがされなくなったことで、魔物の氾濫、スタンピードの気配を感じた。魔素が溜まりすぎているのであれば、ダンジョンを新たに作ることで魔素を消費することができるという知識もあったので、いくつかのダンジョンを作った。それでも溢れてしまったのが今回であり、どちらかというと魔物の氾濫を抑えようとしていた方であると。大きな猿や虎のダンジョンは発見されていないのは、ダンジョン産ではなく森での自然発生であったからで、森の焼き払いによりもう湧かないだろう。

「え?ダンジョンって意図的に作れるの?」

「まぁ私の長年の知識ではね。ダンジョン神が世の魔素の循環のためにダンジョンという魔物もどきを産み出すことを推奨しているという説もあるのだよ。人間側ではあまり知られていない信仰かもしれないが、私も信奉はしていなくても知識はあるのだよ」

「そんな・・・」

「ほぉ、興味がありそうだな。どうだ、私を助命するならば我の知識を提供しても良いのだが」

「サラ!言うことを聞くのか!?」

「そうね、残念だけどレッサーヴァンパイアにも効かなかった≪支配≫であなたを縛るか、従魔契約できる保障がないと受け入れられないわね」

「あぁ、あのヴァンパイア達は私の血の≪支配≫があるから、どれだけ強力な≪支配≫も効果がないだろうね。従魔契約、受け入れるよ、このまま存在が消滅するぐらいなら。逆にサラ嬢と一緒にいると色々と楽しそうだし」

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