第983話 不死魔物ダンジョン再び2

魔物発生源のダンジョンを3つ踏破した効果はまだ街や村の侵攻度合いに現れていないようで、帝国軍やドラセム領軍は引き続き苦労したようであるが、やはり死亡者を発生させるまでは行かずに耐えている。

一方、夜の魔物の進行を見ながら森を焼き払うことで効率的に発生源を絞り込むことができたサラ達は新たに1ヶ所の怪しいところを発見できていた。


「先日までの3つと規模が違うというのだな」

「はい、この前の砦跡をいくつか集めたような規模になります。本命の可能性が高いと推測します」

「1日で探索できない規模の場合に、他の拠点での魔法使いの減少による被害増大や治療行為ができないことでの戦力減少などに不安が残るな」

「では、その本拠地想定の周りは監視しつつも、他の可能性のあるエリアを確認継続するのと合わせて、街や村の防衛を続けながら森の中の魔物を減らすというのはいかがでしょうか」

「それでは日にちばかりかかるのではないか?」

「残念ながら帝国の戦力だけでは昨晩の魔物進行を乗り切ることはできません・・・」

「何だと!」

またしても皇帝派と皇弟派の建設的でない非難に話がズレていくため、皇弟ホルストフが止める。

「もういい、この場におよんでくだらない見栄は不要だ。事実を認めよう。自分達の領民を魔物から守ることもせずに内乱を続けた責任を取る必要がある」

「ホルストフ様!」

「今そのような話をするときではない。今は領民の苦しみを早く取り除くことが優先である。ドラセム卿、いかがしたら良いであろうか」

皇帝アウレアスに意見を求められ、長期不在にしているドラセム侯爵領のことも不安になりつつ答える。

「先程の、本拠地を監視しながら周りから追い詰めて行く方法が安全策と考えます」

「ではそのように。長期化に伴う食糧や矢など消耗品の兵站は引き続き行うので運搬もお願いします」

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