第939話 ドラセム家私有軍再編

続いて再編に取り掛かったのはドラセム侯爵家の領軍、私有軍である。


従来からのドラセム家の従士団は近衛としたが、ターフルダ侯爵領だった時からの領軍である。

領都や街の衛兵を除いた常設軍で3,000人程であり、騎兵が500人程、魔法使いが10人程。そのうち1,000人を5つの街に配分し、それぞれから28の村への巡回と決めていた。


今まではサラを含めた魔法使いを中心に少人数で戦場でも活躍していたが、今後は領軍による数の活躍も期待されているはずであり、この領軍の強化も課題となる。

統一感と侯爵家交代に対する意識づけのために装備の見直しから取り掛かる。特に今までの従士団を近衛としたので彼らのマントやローブは近衛としての特徴として残すが、領軍としても統一感を出すために、ドラセム家の紋章を左胸にサラの髪色でもある銀色で縫い込んだマントを配布する。色は、近衛騎士が濃緑マント、近衛魔術師が濃青ローブ、ドラセム商会が薄青ローブであるので、区別をするためと汚れても目立たない濃茶マントとする。

また武器や防具、特に鎧なども経済力に任せて順次交換していく予定であるが、その前に兵種の見直しも図る。

確認をすると武技を扱える者ばかりでないどころか、剣、槍、弓、騎馬などの特性も確認がされないまま配属されていたという。まず片手剣、盾、両手剣、槍、弓矢など各種武器を一週間ずつ強制的に訓練させる中で武技にも挑戦させる。武技を習得するのに必須である魔力操作について不慣れな者には、近衛魔術師の回復魔法を使って体験させる。その上で、今得意なこととこれから伸びそうなことを確認して本人希望とすり合わせをすることで配属する兵種を決めさせる。

流石に領軍全てにまで今の近衛達のようにバトルホースを配備するかは迷われたので、まずは隊長以上へ配備することにした。通常馬も500以上に増やしたいところであるが、その場合には馬屋の整備や世話をする人数の手当て等も必要になるので、馬自体の配備は先送りしながら、騎乗練習だけは兵種に限らず行うことで、いざという時の機動力を準備しておく。

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