第938話 侯爵領運営開始3

文官や武官についてはある程度のめどが立ったが、難しかったのは、トリストフたちのツテによる裏部隊に向けた人員の採用である。


「サラ様、ローデット様、申し訳ありません」

「どうだったの?昔の暗殺者ギルドの伝手はどうだった?」

「それが、何年も経ったことで裏社会も変わってしまい、また我々がドラセム家の者であることが知れ渡ってしまったので、なかなかうまく行きませんでした」

「トリストフたちはもう表の社会の人間と思われているということね。ある意味良かったわね」

「はい・・・」


「では、逆らうことができない犯罪奴隷の中で、裏社会も知っている者たちを調達することにしましょうか」

「そんな都合よく奴隷商で販売されている?」

「はい、サラ様のおっしゃる通りですので、≪転移≫で各国の大きな街をめぐって探す必要があります。それも定期的に。まぁそういう人物を求めていることが知れ渡れば、奴隷商も取り置きや連絡をくれるようになりますが」

「逆に各国の裏情報に詳しい者が集まるし、それでいいかな」


「サラ様、ローデット様、一つ提案があります」

「なんでも言って」

「はい、その犯罪奴隷の直接雇用だけでは、各地の実情報の収集に不安が残ってしまいます。各地の裏の世界でも、諜報専門のギルド、傭兵への発注契約もご検討頂けないでしょうか」

「トリストフの言う通りね。奴隷商にあたりをつけるだけでなく、そういう伝手も探しておいてね」

「そうですね、欲しい情報が出たときに頼むのではなく、今から適当な仕事を依頼して能力判定もしておきましょう」

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