第934話 侯爵領赴任行脚2
サラたちは貧民街を巡回すると想像以上に孤児が多いことに気づいてしまう。
「ローデット、孤児院の運営開始を早急にできないかしら」
「そうですね、お気持ちも理解できますし、ドラセム家への声望の政治的観点としても早期着手は有用です。まずは領都ドラセールで準備していた祠などの隣地の整地を魔法で早急に行い、代官地で作っていた建物を移設して頂けますか?」
「それはすぐできるけど」
「あとは、奴隷商から孤児院運営の人員を購入しましょう。その新規雇用者を、王都や副都の孤児院に充てて、余剰になる経験者をこの領都に来てもらいましょう」
「わかった、すぐに動くわ」
もともと王都や副都で運営していた際には、国王や領主でもないのである程度の数までの孤児の面倒をみるという気持ちの制約があったが、領主となり領都の領民である孤児の面倒は誰におもんばかることもない。金銭面では魔法回復薬やスクロールという高収益手段以外にも、SランクやAランク魔物を狩ることによる素材売却などの当てもあるので心配しなくて良い。副都である代官地の整備地の売却益も使いきれないほど得られる見込みもある。
遠慮がなくなったサラはハリーとも相談して、貧民街消滅計画を立てることになった。
「まぁ確かに、怪我や病気で働けなくなった人は治療するし、孤児の面倒を見れば、貧民街の住民はかなり減るだろうな」
「でしょ?悪人の隠れ家も減らせるわよね」
「そいつらが一般街の陰に隠れてしまうことも心配だけどな」
「王都のスラム街出身のミーナや、元暗殺者ギルドだったトリストフ、カロル達の意見も聞いて現実的な方法で何とかしたいわね」
「領主になったなら、諜報活動などの裏組織の充実も必要だよな。その整備と併せて相談していくか」
まずは領都の貧民街の端から買い上げていき、そこを整地して新たな建物を作り、一部は孤児院に、一部は孤児院運営の働き手のための住居、さらには元冒険者や軍人たちの宿舎や訓練場、残ったところは孤児が遊ぶための公園などにしていくことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます