第917話 神国選挙2

「それで、この度は選挙で教皇を選出されるというお話でしたが、準備はできたのでしょうか?今まで世襲であった国家元首を選挙というのは運用面でもなかなか簡単ではないと愚考するのですが」

「さすがは宰相閣下。おっしゃる通りです。小さな組合、団体などですら、くじ引きや投票で選択することに慣れていなかったこの国民です。大変難しいです」

「ではどのように?」

「まず立候補すら難しいです。そこで優秀な人材を各村から推薦して貰うことにしました。今の村長でもいいですし、それ以外でも良いです。村より規模が大きい街やこの首都では街区ごとにしました。選ばれた彼ら、今すでに村長などの役についている者ならば後任に任せられる者だけを首都に呼び国政に参加させるようにしました。数ヶ月経った今、新旧共に一緒に仕事をしていた者同士で互選させます。本当は国民全員による直接の選挙が望ましいと思えたのですが、今はまだそのようなことができる能力が国家にも国民にも無いと判断しました」

「適当なところで投げ出さない素晴らしい意志ですね。その互選の結果はいつ出るのでしょうか?」

「はい、後3日ほどでまとまると思います。それまでは、質素になってしまいましたが元気を取り戻している街などをご散策ください」


別れ際に教皇が追加で発言をする。

「大事なことを申し忘れていました。1年前に保留にして頂いていたコルマノン王国ならびにドラセム卿へのご対応については後任への申し送りの最重要事項としておりますので、後任決定後に後任と共に打ち合わせを持たせてください」


王国メンバ用に割り当てられた宿泊所、ここも清潔ではあるが質素になっている場所に落ち着くと、宰相がサラに話しかける。

「どう思った?そんな選挙が上手く行くと思うか?また報奨や賠償なども」

「正直、私に政治の難しいことは分かりません。ただ、全く知らない遠くの人を選ぶより、自分の身近や一緒に仕事をした人の中で優れた人を選べ、と言われる方が分かりやすいですね。ただ報奨の話はあまり期待できないことが分かりました・・・」

「率直な意見であるな。確かに近しい者であれば、選挙のためだけの取り繕った対応も見抜かれやすいだろうし、意外と良く考えられているが、良い人であること、小さい業務が得意な人であることが大きな国家運営を任せられる人かは難しいところだな。お手並みを拝見するとしよう」

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