第895話 転移魔法

サラは今回の戦いで反省をしている。なんだかんだといろいろな魔法が使えるようになり、強いドラゴンにも1対1で勝てるSランク、ミスリル級冒険者にもなって、たいていの敵には余裕で勝てると思いあがっていた。しかし、まだまだ強い敵に出くわして、急に増援を求める必要があることが分かった。

そうなると、転移魔法が使えるのがサラだけというのはかなり不便である。アルメルス神国での辺境国との闘いの際にもサラ1人でも何とかなっていたので、下手に使える者を増やすとその者が狙われる不安と天秤にかけて、現状維持にしていたが見直すことを相談する。


「サラ様しかできないことを少しでも減らして頂いた方が良いと思います。ただでさえお忙しいので」

「我々でできることでしたら。それに、これだけ強くならせて頂いたので今さら狙われる危険よりも、先日のような強敵に出くわしてしまった危険への対処をすべきかと」


とはいっても無制限に広げるのも危険なので、実力もついて日ごろサラの近くにいる、冒険パーティーのティアーヌ、ミーナ、アルベール、リリアナの4人にいったん限定しておくことになった。

彼女たちは既に≪結界≫などの空間魔法は習得済みであるので、同じ系統である≪転移陣≫≪転移≫についてはスクロールを多用しての習得に挑戦する。実際の使用イメージはサラの実演や自身の体験も十分であるので、あとは魔法制御の流れなどの体感である。


スクロールの素材にするドラゴンやワイバーンの狩りを行い、ついでに先日ターフルダ侯爵領で消費した以上に神級や特級の魔力回復薬も大量に生産して、ぜいたくな訓練条件により、4人はそれぞれ程度の差はあるものの習得することができた。

後は繰り返しの習熟をするだけである。

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