第876話 ノイハイム伯爵寄子始末

ドラセム侯爵がターフルダ侯爵一派を焚きつけて頂いたお陰で、帝国への裏切りの明確な証拠も確保することができた、とノイハイム伯爵がいう。

そのうえで目付貴族に対して、自分の寄子であった男爵たち2人の屋敷を早急に家宅捜索するように言う。


この場で捕縛した面々と、捕縛に来ていた目付貴族や衛兵たちをまとめて王都内に≪転移≫で連れ帰り、奴隷商人に犯罪奴隷の手続きをして貰う。それにより、男爵自身が自分の屋敷を案内するためそれ以降の営みにおいて戦闘行為は発生せずに終了する。


翌朝、いったんのことが片付いたとして宰相のもとへサラ達は呼ばれる。その場にはノイハイム伯爵も同席していた。

「ドラセム卿、昨夜も活躍してくれたようだな。まさに執行人になってくれたわけだな」

「はぁ」

「まさにドラセム侯爵のおかげです。私だけでは下っ端まで全てを一網打尽にすることは出来なかったかと。捕縛においても、その後の短時間での王都屋敷への移動においても、ドラセム侯爵の魔法に助けられました」

「そういうノイハイム卿の潜伏も見事であったな。男爵たちが失敗したから手のひらを返したのかと思えるほどな」

「まさか、私は生粋のコルマノン王国貴族ですよ」

「まぁよい。ノイハイム卿の2人しかいなかった寄子2人ともが帝国へ内通していたのであるから、その監督不行き届きと今回の成果は相殺かの」

「かしこまりました・・・」

「ところで、あの帝国貴族、男爵だったのだが、やはり皇弟派であったようだ。それと、今回捕縛した男爵2人以外にも、ターフルダ侯爵領に常駐している寄子貴族の何人かとも内通していたようだ」

「ということは、ターフルダ侯爵自体の証跡はまだ無いのでしょうか」

「そういうことだ。続けてドラセム侯爵には頼みたいことがある」

宰相からは、皇弟派男爵が王国内で悪さをしていたので捕獲した旨を皇帝に伝言することと、ターフルダ侯爵領へ目付貴族達を送り込んで捕縛することへの支援をすることを指示された。いずれも≪転移≫を用いることで、相手に伝わるより早く行うことが目的とのことである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る