第875話 ノイハイム伯爵寄子暴走2

イトリーザ男爵との会話からレーベルク帝国の貴族と思われる者までこの地にいたようである。驚いて目付職貴族に目線で確認するも、彼も認識していない旨を、手を振って答えてくる。


「良し、そこまでだ!」

サラ達が飛び出したのと同時に、ノイハイム伯爵と思われる者が発言し、右手を上げる。すると姿を隠していた残りの者たちが、帝国貴族と思われる者やハーフルダ男爵、イトリーザ男爵やその従士たちと思われる者たちを、抜いた剣を持って取り囲む。

しかしサラも魔法を多数同時発動していて、リスチアンの周りの者たちの足を氷漬けにしたのと同時であった。


「やはりドラセム侯爵もいらっしゃっていたのですか。ノイハイム伯爵でございます。私や私の配下の者には魔法を発動しないで頂けますと助かります」

「どういうことか説明してもらえますか?」

サラ達は目付職貴族や衛兵たちとともに姿を現して疑問を投げる。

「ノイハイム伯爵、私たちにこそどうかご説明を。何が何だかわかりません!」

伯爵の寄子であったはずの男爵たちが叫ぶ。


「そうですね、まず私はドラセム侯爵の横にいる目付みたいな者と言えばわかりますかね」

言葉を無くしている周りに説明を続けようとするノイハイム。その隙に逃げ出そうとする帝国貴族たちに対してはサラが足の氷漬けを追加する。ノイハイムはお礼の言葉の後に説明を続ける。


自身は武闘派であり今の宰相たちの穏健派路線は気に入らないが、あくまでもコルマノン王国の貴族である。ターフルダ侯爵一派の中で、自国を他国に売り渡すような風潮が出てきたことを危険視しており証拠集めをしていたという。

アナトリアはもともと伯爵家中の者で、帝国が王国に怪しい動きをしそうだから、悪魔教団にアナトリアを密偵(スパイ)として送り込んでいたとのこと。

寄子の男爵たち2人は、自分たちの従士が捕まったから自分たちも危ない、ドラセム家の秘密そのものの騎士爵を連れて帝国に亡命しようと考えたようで、この捕縛までの段取りを調整したうえで、伯爵にその旨を話してきたという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る