第857話 寄子従士2

彼らは騎士爵になったばかりでそれほど裕福でもないので開拓地内にサラから土地を貰ったものの、食料など生活用品は開拓地内ではなく、開拓地西側の川を挟んだ先に自然と出来てきている街区の値段の安い店舗で購入している。主な買い出しはその従士に任せているのだが、ある日その街区の細道でならず者たちに絡まれたらしい。しかも後から話を聞くと従士2人がそれぞれ同じような格好の者たちから、であった模様。

どうも単なるならず者ではなく、ドラセム家の秘密を探ろうと、秘密を洩らせない犯罪奴隷であることを知らないで、その従士たちを狙ったのではないかと不安になったとのこと。


その話を聞いた魔術師団の騎士爵の1人リスチアン・ドラナンが不安になったとのこと。のんびりと従士を探すつもりであったが、≪種火≫程度だが魔法を使えるという売り込みの者が来たので飛びついて採用してしまったという。しかも美人であったので・・・と俯く。

「で、どのくらいまでその彼女に話してしまったの?」

「空の魔石を使用した制御訓練を・・・それ以上に進む前にシャルナンたちの話を聞いたので」

「それくらいならばまだ良いわ。今日、その従士たちは来ているの?」

「はい、あちらで控えております。シャルナンとジェレオンの従士たちと私の3人です」


サラは急いで≪簡易契約≫のスクロールを作成し、リスチアンに渡す。これを使ってドラセム家の魔法訓練関係について他者に漏らしてはならない、過去にも漏らしていないことを宣言させて、と。

リスチアンは別室で従士と対面する。

「今後のためにと寄親ドラセム侯爵から契約スクロールを授かった。これを使わせて欲しい」

「え?悪魔魔法もお使いになるという侯爵様からですか?大丈夫ですか?」

「もちろんそこは問題ない。同じ物を2つ用意されて、片方で既に試してある」

しぶしぶという感じで≪簡易契約≫をリスチアンと結んだ彼女は、過去にも漏らしていないという際に立っていられないほど体調不良になりしゃがみ込む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る