女執行人サラ
第856話 寄子従士
ハリーの誕生日パーティーで、サラとハリーを生暖かい目で皆が見守ることになっているとき、海賊騒ぎでは一緒に参加できなかった寄子貴族たち5人が空気を読まない体でサラとハリーのところに寄ってくる。
「我ら寄子騎士団にも訓練の機会を頂けないでしょうか」
「いや、魔術師団に属していても我々も寄子なのでぜひとも」
変な雰囲気を紛らわすのにちょうど良いと2人は相談内容を確認する。
寄子の騎士爵5人それぞれは、以前のアドバイスに従い空の魔石による魔力操作訓練などのほかに、冒険者登録してのダンジョン攻略も開始していた。元々魔術師団の3人は以前から登録していたが、騎士団であった2人シャルナン・ドラモンとジェレオン・ドラロクは経験が無かったので、残り3人に付き添って貰ったり、同時期に採用された代官地護衛隊の新規メンバと一緒に潜ったり、ドラセム家の他の従士団員に付き添って貰ったりしていた。
もともと騎士爵に抜擢されるぐらいの戦闘力はあるので、銅級冒険者になるのは早く、ワーズダンジョンのCランク魔物の階層である21階より先へも進んでいるとのこと。数ヶ月の成果としては十分である。
「それで、本当は何に困っているの?」
「実は私たち自身というよりも雇用した従士たちのことで・・・」
話しにくそうなのでハリーの誕生日パーティーを解散した後に、サラとハリーだけで5人の相談にのるため別室に移り、話の続きを聞く。
騎士爵になったので従士を1~2人は雇用しなくてはならない、と探し始めたところ、単なる騎士爵にもかかわらず仕官希望者が殺到したという。どうもドラセム家の従士団の強さの秘密を探りたいという目的の者たちが多いのではないかと疑ってしまいなかなか踏ん切りがつかず。
魔法使いが少ない世の中では、魔術師団員の従士が魔法を使えないのは仕方なく、軍事作戦等があっても騎士爵本人だけが駆け付けてもあまり目立たない。しかし、騎士団の2人は従士が居ないと格好がつかないという意識があり、まずは絶対服従の犯罪奴隷を購入して対応しようとした。ドラセム家の騎士団にも多くの犯罪奴隷が居るのを認識していたからである。
その従士たちには当然にドラセム家の魔法関係の訓練方法など秘密厳守を命令した以外は普通に扱っていたらしいが、あるとき、事件が起きたとのこと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます