第803話 寄親検討
副団長になるためにはドラセム家の従士団をどうするかという課題があることで、騎士団長も魔術師団長も言葉に詰まる。この従士団が帝国や神国での諸々で大活躍していることを十分認識しているため、王国の騎士団や魔術師団の所属でなくする選択肢はありえない。
今日のところは、寄親だけは承諾するように両団長に言われ、検討するとだけ回答することになった。
しがらみが増えて自由時間が減ると懸念するサラである。
サラのあずかり知らないことではあるが、国王も宰相もサラがコルマノン王国を去ることが無いようにするためには、しがらみや関係者を複雑にするのが良いという考えもあって、当然に寄親は許容している。
「おや、元気がなさそうだな。せっかく美味しい物があるというのに。ドラセム侯爵家のパーティーだけあって、内陸なのに新鮮な海鮮料理がとても美味しいぞ」
「あなたは!?」
カーラの店であった、確か名前はロン。確かにこのパーティーにふさわしい服装ではあるが、サラは招待者にそのような名前があった記憶が無い。
カーラだけでなく、ティアーヌやリリアナ等、美人にばかり声をかけている。
慌てて家宰のローデットに確認しようとしたときには既に去って行ったのか見当たらない。そういえば、ドラゴンの牙を渡すことも思いつく間も無かった。
騎士団長、魔術師団長に重たい宿題を言われ憂鬱なまま誕生パーティーがお開きになる。
家宰ローデット、ハリー、ティアーヌなど主だった者たちを呼んで、副団長の話があったこと、寄親になるよう指示されたことを共有する。
「サラ様のご懸念はごもっともですが、普通は役付を目指すもの、上級貴族とは寄親として寄子を増やすもの、なんですよ」
「もし王族しかなれない第1騎士団ではなく、魔術師団の副団長になったら、俺が皆を連れて第2騎士団に残るのかな?別々に行動することになるのはどうなんだろうな。それに副団長って、戦場でも天幕の中に居るだけになったら、戦力ダウンだよな」
「副団長はいったん回避でも、寄親は上級貴族の義務なのではないでしょうか。それに、神国騒動で活躍して叙爵されたから、サラ様を寄親にご希望なんですよね」
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