第768話 ダラム防衛戦2
いくら統制が取られていると言っても、所詮は魔物の軍団。
我慢できなくなったのであろう、ゴブリンの10人ほどの集団が川を越えだしたのを皮切りに、どちらからともなくときの声があがり、開戦の合図となった。
始まりが始まりであり、先頭同士は既に入り乱れているため、通常ならば開戦時に発生する、魔法の打ち合い、弓矢の打ち合いが非常に少ない。どうしても失敗したときに目前にいる味方に当ててしまう可能性があるからである。
それは魔法使いであるダークエルフの数が少ない魔物の軍団にとっては優位にも思える状況であった。
戦況の報告を受けた、司令部になっている各国の代表者の集まった天幕では、そこに待機させられていたサラに対して、仲間たちを連れて魔物の軍団の奥で、上空からの攻撃を要請される。
決戦とは言えロージアンの防衛も並行して行うため、サラの仲間たちも二手に分かれている。というより、他国も含めて戦力が集まっているこちらではなく、ロージアンにほとんどを割いていた。ドラゴンのドンも、山間を超えた辺境側で狩りをさせて後方かく乱をさせている。ダラム防衛側に戦力を集中して、手柄の独り占めと言われないためでもある。
そのため、サラの冒険パーティーの6人のみとハリーの従魔であるワイバーンとロック鳥だけがこの決戦場に来ていた。
ハリーはワイバーンに騎乗して、それ以外の5人は≪飛翔≫で敵陣の上空まで飛び、魔物の軍勢に対して手当たり次第に攻撃を仕掛ける。ハリーはワイバーンのブレスを主に使い、他のメンバは精霊、天使、悪魔などを≪召喚≫して攻撃魔法を乱発する。
「ハリー、調子に乗っていると、ダークエルフの魔法にやられるわよ」
「俺が、というよりこいつ、ワンが楽しんでいるんだよ」
「うわ、あぶねぇ」
「ほら、言った通り・・・」
自身に≪結界≫ができていないハリーが、ダークエルフの攻撃魔法のターゲットにされていた。彼らも魔法が得意な種族であり≪氷槍≫や≪氷壁≫などの上級魔法で、ワイバーンの弱点を狙ってくるのである。
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