第766話 ダラム軍議2
大きな方針としては、ロージアンの南西から神国内に入り込んでしまった魔物の軍勢のほとんどを首都ダラム手前で集結させて、そこを一気に叩くというものではあるが、村々の防衛も放棄することはできないし、ロージアン自体も守らなければならない。
村々から村民が避難を誘導するのとあわせて、そこに割り当てていた将兵を少しずつダラムに移動させる。とはいえ、当然首都ダラムにもそこまでの収容能力は無いため、魔物たちの反対側であるダラム北東側に避難キャンプのようなものを設営することになっている。サラは、コルマノン王国からの支援物資をそのキャンプに運送することも請け負うことになった。
また、ロージアン付近でも、魔物たちが神国内に進入することを少しでも食い止めるため、継続して魔物の間引きのために≪飛翔≫による攻撃を行うのと合わせて、新たに従魔になったドラゴンのドンに、南西の山間を超えた辺境側にもときどき食事を兼ねて狩りに行かせることにしている。
その少し落ち着いている間に、年が明ける。
当然、避難キャンプや首都ダラムなど神国内では新年を皆で祝う雰囲気ではないが、教皇がコルマノン王国に要望して、このタイミングではあるが1食だけでも豪勢になり気分転換になるように、ということから、各国の支援軍へも含めて、サラが大量に弁当を持ち込むことになった。サラ自身の輸送には≪転移≫を用いるため時間はかからないが、製作から配布して食べられるまでには時間がかかるので、サラが特別に時間停止機能付きの魔法袋を追加製作して、仲間たちと配るのであった。
そのような時期であり多忙のため、コルマノン王国の王都における新年祝賀会には参加できないのは逆に幸運であったと思うサラであった。しかし、孤児たちの誕生日に設定してある1月1日、そして8歳を迎える子供たちには職業訓練をどの分野で開始するかを楽しく祝いながら話をする機会が延期になったことは残念である。王都の留守番組で誕生日だけは祝っている中にサラは少しだけ顔を見せて、そのことを謝罪する。
家宰ローデットがそこは上手く取り仕切ることで、今年8歳になった子供たちは戦場に行けないこともあり、代官地で家宰補助を行うか、王都ワーズでドラセム商会の見習いをすることになった。
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